福島第一原子力発電所2号機では燃料デブリの試験的取り出しが行われている。
10月30日には画像のようにロボットがデブリをつかんで持ち上げ、10月31日には格納容器の外に向けて、デブリをつかんだままのロボットを引き戻す作業が実施されている。
【そもそも燃料デブリとは?】
東京電力の「燃料デブリポータルサイト」によると、
・事故当時、1~3号機は稼働中だったため、炉心に燃料が格納されていた。
・事故発生後、非常用電源が失われたことで炉心を冷やすことができなくなり、この燃料が過熱し、燃料棒や炉内構造物とともに溶融した。
・その溶融物が冷えて固まったものを燃料デブリと言う。
と説明されている。
溶け落ちた核燃料が、原子炉の中にある金属やコンクリートなどを巻き込んで冷え固まったものが「燃料デブリ」で、非常に高い放射線を発している。
【燃料デブリはどこにどのくらいあるの?】
東京電力は福島第一原発の1~3号機には合計で880トンの燃料デブリがあると推計している。
道路脇の側溝のフタのようなグレーチングにこびりついているものもあれば、原子炉本体「圧力容器」から溶け落ちた状態で固まり”つらら”のようにぶら下がっているもの、格納容器底部に固まっているものなどがあると推定されるが、放射線量が高く、直接人の目で確認することができないことから、デブリの正確な位置や形状の全容は把握しきれていない。
【デブリがあると何が困るの?】
燃料デブリは福島第一原発で今も高い放射線量を発し続けていて、いわば「放射線の発信源」となっている。
ドローンやロボットにカメラを取り付け、遠隔で格納容器の内部調査を行っているものの、高い放射線が機器に不具合を起こすとして長時間の調査は厳しく、格内部の正確な情報をつかむことを困難にしている。
「内部が把握できない」ということは、廃炉作業の計画を立てる上での障壁にもなっている。
ま、た燃料デブリに触れた水が「汚染水」となり、ここから大部分の放射性物質を取り除いたうえで海水で薄めて海に放出する「処理水の海洋放出」は今も継続中。また、高い放射線が放出される限り近隣住民の帰還環境も整わないため、デブリへの対処が廃炉の「最難関」であり「本丸」となっている。
【デブリはこれからどうするの?】
2号機で試験的取り出しが行われている一方、3号機では「大規模取出し」が計画されている。
廃炉作業への助言を行う「原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)」はこの大規模取出しに向け、”一部をセメントのような充填剤で固めて水をかけながら取り出す”という「気中工法」の採用を決定。
現在、東京電力が、具体的なスケジュールや予算規模などの検討を行っているが、NDFからの聞き取りに対し「2025年度半ばまでに検討を完了したい」と回答しているという。
国と東京電力は2051年までに廃炉を完遂するとしていて、そのためのデブリ取り出しについて様々な手法を検討している段階。
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