1973年に創業した沖縄県南城市玉城親慶原の老舗「チャーリーレストラン」が店内での食事提供を終え、今月からパイだけの持ち帰り専門店になった。「ホテルのない時代、おじいちゃんとおばあちゃんはここで結婚式の顔合わせをしたんだよ」。レストランの営業終了を惜しんで訪れた客からはこんなこぼれ話も。従業員に伝え足りない客は、卓上の紙ナプキンに思いを書き残した。オーナーの山入端(やまには)宏光さん(74)は店の外に「皆様のおかげさまで五十年続けることができました」と記した垂れ幕を掲げて感謝を込めた。(南部報道部・平島夏実)

半世紀超の支援に感謝するチャーリーレストランの山入端宏光オーナー(右)と妹の真弓さん=18日、南城市玉城親慶原

■米CIA秘密施設のコックが創業

 店の創業者は山入端さんの父、故宏正(こうしょう)さん。南城市玉城にあった米中央情報局(CIA)の秘密施設「キャンプ知念」のコックで、「チャーリー」の愛称で呼ばれていた。

 宏正さんは日本復帰の翌年、40代でレストランを始めた。本島南部では先駆けの「ドライブイン」を併設し、同市内のみーばるビーチへ遊びに行く行楽客らにハンバーガーやサンドイッチを売った。

 2代目オーナーを山入端さんが継いだのは22歳の時。県外から一時帰省した際、「汗水垂らして、トイレに行く時間も惜しんでおやじを助けている従業員のおじさんたち」を見て、店に立とうと決めた。

オープンした1973年当時のチャーリーレストラン(提供)

■当時のランチは「今のお客さんなら食べきれないボリューム」

 数種類の揚げ物が乗った「チャーリーランチ」は、「今のお客さんだったらおそらく食べきれないボリューム」。それでも、ひっきりなしに注文が入った。

 今年8月下旬には、近隣に米国系の会員制大型スーパー「コストコ」がオープン。道路の大渋滞に巻き込まれながら、チャーリーの一皿を求めて数時間待ってくれた客もいた。山入端さんはミニステーキやエビのグリルを添えて迎えた。

 胸をかきむしられるような思いでレストランを閉じると決断したのは、近年の原材料費高騰などが経営を圧迫したからだ。

■紙ナプキンに記されたラブレター

 営業を終えると、店内には常連客らが贈ったランの鉢植えがずらりと並んだ。レジ前には紙ナプキンにしたためられたラブレター。従業員一同からの感謝のメッセージもある。

紙ナプキンに書かれた来店客のメッセージ。店内のレジ横に貼られていた

 今後も販売を続けるパイはアップル、ブルーベリー、チェリーアップルの3種類。手作りのパイ生地でサクサク感にこだわる。営業は午前11時から午後4時で木曜日定休。予約は電話、098(948)1617。

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