学習の土台を作り、人生を生き抜く力を育てるとされ、世界の教育現場で重視されるようになった「非認知能力」。一般には聞き慣れない言葉だが、民間調査で小学生の子供を持つ親らに尋ねたところ、認知度は約6割あった。日本では、家庭の経済状況が子供の学力に影響するとの意見も根強いが、非認知能力への期待も高まっているようだ。
計算力や語学力など学力テストで数値化できる知的能力が「認知能力」。これに対し、目標を成し遂げようとする意欲や、自分の感情を制御する力、コミュニケーション力といった社会性に関わる能力が「非認知能力」と呼ばれる。
広く知られる契機となったのは、2000年のノーベル経済学賞を受賞した米国のジェームズ・ヘックマン氏の研究結果だ。幼児期に非認知能力を高める教育をしたグループとそうではないグループを追跡調査したところ、非認知能力が高いグループでは知能指数(IQ)や収入が高く、犯罪率も低いなど安定した社会生活を送れていることが示された。
今回の意識調査は、ネット上での学習サービスを提供する「イー・ラーニング研究所」(大阪府吹田市)が9月に小学生の子供を持つ親や親族を対象に実施し、350人から回答を得た。「非認知能力」について「知っている」と答えた人は58%に上った。「その内容を理解し、説明ができる」とした人は27%にとどまったが、非認知能力を磨くことが子供たちに有益と考える人は多いようで、「関連の情報を得る機会を増やしたい」と前向きに考える人は76%に及んだ。
期待する効果は、「コミュニケーション能力や協調性」(257人)が最多。「応用力の向上」(225人)、「問題解決能力を身につける」(212人)などが続いた。
一方、課題としては、関連情報の少なさのほか、評価基準の難しさ、関連授業の少なさを指摘する声が多かった。
今後、日本でも非認知能力を高める取り組みがどこまで拡大するか注目されそうだ。【嶋田夕子】
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