政府は29日、2024年版の自殺対策白書を閣議決定した。23年の自殺者数は2万1837人で、前年(2万1881人)をわずかに下回った。自殺の原因・動機別(複数回答可)では、「経済・生活問題」が前年比484人増の5181人で、この2年で1・5倍に増加した。厚生労働省は21年の後半から始まった物価高による生活苦が背景にあるとみている。
男女別では男性は1万4862人(前年比116人増)と2年連続で増加、女性は6975人(同160人減)で4年ぶりに減少した。小中高生は513人(同1人減)で過去最多だった前年と同水準だった。
原因・動機別は多い順に、健康問題1万2403人(同371人減)▽経済・生活問題▽家庭問題4708人(同67人減)▽勤務問題2875人(同93人減)。全体の9割近くを占める上位4項目では経済・生活問題のみが増加した。
経済・生活問題は、21年までの5年間は3000人台前半で推移していた。22年に警察庁の自殺統計原票の項目が見直されたため単純比較はできないものの、22年は4697人に急増、23年も増加傾向が続いた。厚労省の担当者は「自殺の背景には多様かつ複合的な原因があるが、物価高が影響していると考えられる」と分析している。
白書では子どもの自殺が増え続けていることから、小中高生の自殺について分析した。原因・動機は、小学生では家族からの叱責など「家庭問題」が男女ともに高い傾向が見られた。
中学・高校生では男女差が見られ、男子は学業不振や進路に関する悩みなどが多かった。女子は友人関係などの悩みが原因となる傾向があり、特に中学生で顕著だった。高校生は病気などの健康問題の割合が高く、うつ病をはじめとする精神疾患が動機となった割合が特に高かった。
自殺者数を日付別にみると、8月後半から増加し、夏休み明けの9月1日が多くなっている。夏休み明けが他地域よりも早い北海道・東北地方では、増加時期が1~2週間早くなっていた。【肥沼直寛】
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