海外在住の日本人有権者が最高裁裁判官の国民審査に投票できないことの違憲性が争われた訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=東京都千代田区で2022年5月25日午後2時57分(代表撮影)
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 「憲法の番人」とも称される最高裁裁判官に対する国民審査が27日の衆院選投開票と同時に実施される。3審制の頂点に位置する最高裁の人事に国民の意見を直接反映させることができる貴重な機会だ。審査の対象は、前回衆院選(2021年10月)後に任命された6人となるが、何を基準に票を投じればいいのだろうか。

 <審査対象の6裁判官の横顔>
 尾島明氏「『逃げない司法』心がけ」
 宮川美津子氏「男女共同参画、法曹も」
 今崎幸彦氏「独善戒め謙虚大切に」
 平木正洋氏「再審無罪事例に学ぶ」
 石兼公博氏「世界の中の日本意識」
 中村慎氏「多角的な視点忘れず」

強大な権限を持つ最高裁

 裁判官は全国の裁判所に所属するが、最高裁裁判官はその立場にふさわしいか、特別に国民の審査を受ける。

 最高裁裁判官は長官1人と判事14人の計15人で構成される。

 司法権は立法権、行政権から独立し、国民の権利を保護することを主な使命とする。

 司法権の中で最高裁は司法の最終的な判断を担う。通常は5人単位の「小法廷」で事件を裁いているが、新たな憲法判断を示したり、判例を変更したりする場合は15人による「大法廷」で審理する。

 最高裁による憲法や法律の解釈は地裁や高裁の判断を拘束する。最高裁が法令を違憲と判断すれば国会は改正を迫られる。最高裁が持つ権限は強大だ。

 一方で、最高裁裁判官は内閣に任命(長官は指名)されることになっている。最高裁裁判官の任命に乱用がないか、主権者である国民がチェックする仕組みが国民審査ということになる。今回の審査対象者は裁判官出身者4人、弁護士、行政官の出身者が各1人となっている。

最高裁裁判官に対する国民審査の仕組み
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審査の仕組みは?

 国民審査は辞めさせたい裁判官の名前の上に「×」を書き、有効票の過半数に達すると罷免される。「○」「△」「?」のように「×」以外の印を付けると無効と判断されるので注意が必要だ。

 最高裁裁判官は任命されて最初の衆院選で審査を受ける。最高裁裁判官は他の裁判官と異なり、各裁判官が判決や決定の多数意見に対して賛否を表明するため、国民審査の際にこれらは有力な判断材料になる。

 ただ、今回の国民審査では、最高裁裁判官に8月と9月に就任したばかりの判事もいる。何を手掛かりに投票すればいいのか、戸惑う人も多いはずだ。

 国民審査に詳しい明治大の西川伸一教授は「就任記者会見の発言や過去の経歴を参考にしてみてはどうか」と話す。【巽賢司】

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