土下座を強要された企業のうち、約7割が実際に土下座をしたと回答=アフターコールナビ提供

 顧客から土下座を強要された際、約7割の企業が実際に「土下座をした」と回答――。電話代行サービス会社の調査で、企業の過酷なカスタマーハラスメント(カスハラ)対応の一端が見えた。

 調査は企業の電話対応の代行業務を手掛けるアフターコールナビ(東京)が9月26~27日に実施した。カスハラ被害を受けたことがある企業の経営者1005人に対し、具体的な内容や対応についてインターネットで聞いた。

 客から「土下座を強要をされたことがあるか」という質問に対し、約半数の46・8%があると回答。そのうち、35・7%が一度だけ土下座し、34・5%は複数回の土下座に応じたと回答。土下座を強要された企業のうち、約7割が実際に土下座をしていたことになる。土下座をした理由で最も多かったのは、「その場を早く収めたかったから」(39・1%)。アフターコールナビの担当者によると「時間的・精神的な負担を軽減するために妥協するケースが多いことがうかがえる」という。

 東京都では10月4日に、客が従業員らに理不尽な要求をすることを禁じる全国初のカスハラ防止条例が成立した。ただし、正当なクレームとカスハラとの線引きは難しく、罰則規定もないため、条例の実効性をどう担保するかが課題となっている。

 カスハラに該当するかの線引きについて、アフターコールナビの調査では、39・9%が「従業員に任せている」と回答。多くの企業が個々の従業員の判断や経験に依存しており、同社は「一貫性のある対応をするには、明確な基準や継続的な研修が必要だ」としている。【秋丸生帆】

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