東京都内の運転免許試験場の行列。その大半が日本の免許を取得しようとする中国人です。
増え続けている中国人の交通事故と関連はあるのか独自取材しました。
昨今、中国人による日本での事故が急増。
そうした中、日本の免許取得を巡ってさまざまな異変が起きています。
まだ日も昇っていない午前5時過ぎ、取材班が東京・府中市にある府中運転免許試験場を訪れると、早朝にもかかわらず大行列。並んでいる人の多くが中国人です。
中国語で「並ぶのは禁止」と書かれた看板があるにもかかわらず、集まる多くの中国人。
一体、何のために並んでいるのか、並んでいた人に話を聞くと、「みんな朝から外免切替のために来ています」といった声が聞かれました。
外国の運転免許証を持つ人が、日本での運転を法的に許可された運転免許証に切り替える、外免切替。
学科試験・技能試験をクリアすることで、日本の免許へと切り替えることができます。
学科試験はコンピューターで出題される10問の2択問題のうち7問以上正解することで合格となります。
試験を控える中国人に、その難易度について聞いてみると、「中国の免許証持ってるから勉強してない。大丈夫だと思います。ルールっていうかほぼ同じじゃないかな、多分」という声が聞かれました。
実際はどうだったのか。試験を終えて改めて聞くと、「受かりました。試験というか簡単な質問です」と“ノー勉強”で見事合格。
警察庁によりますと、2023年の技能試験の通過率は約30%だといいます。
自動車生活ジャーナリスト・加藤久美子さんは「(筆記試験は)日本人が受ける免許の筆記よりかは(問題の)数は10分の1以下ですし、引っかけ問題みたいな難しいとかはそんなにない」と話します。
こうした取得への難易度に加え、その汎用(はんよう)性の高さにも中国人が殺到する背景が潜んでいるといいます。
加藤さんは「中国の免許で運転できるのは10カ国ぐらい。(日本の免許は)一気に100カ国に増えるということになる」と話しました。
日本はジュネーブ条約に加盟しているため、日本の免許を取得すると100カ国近くの加盟国で運転できる国際免許が取得できるといいます。
日本の免許に中国人が殺到する異例の事態。
中国国内に住む中国人男性が、日本に観光に来た際に取得したという免許を見ると、免許の住所が「ホテル名」になっています。
日本の外免切替は、日本で住民登録しているかは問われず、「観光ビザ」での取得も可能。
そのため、宿泊したホテルに「一時帰国証明書」を出してもらうことで、短期の観光で訪れた中国人もホテルの住所で日本の免許を取得することができるのです。
「イット!」は、「民宿の住所で日本の免許を取得した」という北京在住の中国人を取材。
観光目的の2度の来日で日本の免許を取得できたといいます。
観光時に日本の免許を取得した北京在住の中国人:
僕はことし5月に来日して学科試験を受けました。その後9月に来日、技能試験を受けました。日本の免許に切り替えるため、宿泊先が宿泊証明書を出してくれました。学科試験は10問ありました。他の国の学科試験とあんまり変わらない。普通に合格できます。
宿泊先が発行する宿泊証明書を提示することで、日本の免許を取得できたといいます。
観光時に日本の免許を取得した北京在住の中国人:
日本の免許のメリットは、国際免許証に切り替えやすいことです。例えばドイツでは通常、免許を取るのが難しいですが、日本の免許から切り替えすれば簡単に取得することができます。
観光で訪れた中国人による日本の免許取得。
しかし、中国人による日本での運転が痛ましい事故へつながってしまったケースもあります。
一方通行の道を猛スピードで逆走する車。
運転していたのは18歳の中国籍の男で、酒気帯び運転の現行犯で逮捕されました。
この事故で衝突された車に乗っていた日本人男性が命を落としました。
日本の交通ルールを熟知していない外国人には、加藤さんも「実際に外国人による事故、例えばレンタカーで事故の件数は非常に今増えている。事故を起こしたときの対応というかマナー、そういったものが国によって違うので、ちゃんと外免切替という簡単な試験の中で見極められるのかというのはある」と警鐘を鳴らします。
実際に、日本の免許を保有する中国人による交通事故は年々100件単位で増加しています。
海外からの観光客も増加する今、免許取得の在り方に見直しは必要なのでしょうか。
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