福岡県久留米市で去年9月、小学校の女性教師を殺害し遺体を遺棄した罪に問われている夫に対し、21日、福岡地裁は懲役16年の判決を言い渡しました。

起訴状によりますと、渡邉司被告(42)は去年9月、当時暮らしていた久留米市のマンションで、妻で小学校教師の彩さん(当時35)の首を圧迫して殺害し、遺体を約1カ月にわたり放置したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われています。

これまでの裁判で、司被告は死体遺棄の罪については認めていましたが、殺人罪については否認していました。

検察側は
・彩さんの遺体の状況から首を圧迫されたことによる窒息死である
・他殺の可能性が極めて高い
・彩さんに自殺する動機はない
・マンションの購入資金をめぐり夫婦間で金銭トラブルがあるなど殺害する動機があった
などと指摘しました。

一方、弁護側は
・彩さんの遺体に抵抗の際に残る傷「防御創」がない
・彩さんが副業していたことを「勤務先の学校に伝える」と渡邉被告から通告されたことがきっかけで自殺した
などと述べました。

10月2日に行われた裁判では、検察側からの被告人質問に司被告は以下のように答えました。

<検察側からの被告人質問>
検察「自殺と思っている?」
被告「そう思っています」
検「遺体への蘇生措置はしなかったのですか?」
被告「顔をパチパチ叩いたと思います。髪を引っ張ったり体をゆすったりしたのは、怒りだったと思います」「長い間さんざん振り回して勝手に死んで逃げやがって」「妻の自分勝手さに怒っていたと思います」

一方、弁護側からの被告人質問では、彩さんの遺体を放置したことを遺族に向け謝罪しました。

<弁護側からの被告人質問>
被告「人として許されることではなかったことはわかっています。(嗚咽)お詫びをしたいです。申し訳ありませんでした」

10月9日の裁判で、検察は「強固な殺意に基づく残忍な犯行で悪質」として司被告に懲役18年を求刑しました。

また彩さんの父親が「死人に口なしが通る結果ではなく正義ある判断を望みます」と意見陳述しました。

21日に開かれた判決公判で、福岡地裁は、「突発的で強固な殺意に基づく危険な行為」「被害者への日頃の鬱憤がたまっていたところで、マンション購入の手付金に関して口論となり殺害にいたった短絡的な意思決定は強い批難をまぬがれない」などとして、殺人罪と死体遺棄罪ともに認定し、司被告に対し懲役16年の判決を言い渡しました。

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