子どもが不登校になった保護者の約5人に1人が離職を余儀なくされている――。
そんな民間の調査結果が今月、発表された。不登校の子どもをもつ保護者の過半数が、気分の落ち込みなど精神面の不調を経験していることも明らかになった。
不登校が過去最多を更新するなか、子どもだけでなく、保護者も深刻な困難を抱えている。
9%は「希死念慮」を経験
調査はオンラインフリースクールを運営するSOZOW(東京都品川区)が「SOZOWスクール小中等部」に通う子どもの保護者を対象に実施。子どもが不登校になったことで経験した変化(複数回答可)を尋ね、187人から有効回答を得て、今月公表した。
その結果、不登校の子どもをもつ保護者のうち、18・7%が離職を余儀なくされていた。理由としては「低学年のため自宅で子どもを見守る必要があった」「登校できるタイミングで付き添ってあげたかった」などがあげられている。
また、回答者の57.2%が「気分の落ち込み」、54.5%が「孤独」を感じたとしている。15.0%は精神科を受診し、9.1%は「死にたいと感じた」という希死念慮を抱いていた。
今回の調査に助言した明治学院大の関水徹平准教授は「不登校によって家庭生活も大きな影響を受けるケースは多く、保護者に対するサポートも必要」とコメントした。
情報不足が引き起こす孤立
子どもが学校に通わなくなり始めたとき、相談窓口や今後の進路などについて「学校からの必要な情報提供がなく困ったか」という質問には、77.0%が「困った」と回答。情報不足が保護者のストレスや不安につながっているようだ。
小中学生が不登校になった場合、転校、フリースクール、家庭教育など選択肢が多岐にわたり、教員には適切な進路指導が求められる。だが、教育現場は逼迫(ひっぱく)している。
文部科学省の調査によると、小中学校の不登校の児童・生徒数は2022年度に約30万人に上った。教員の負担軽減も大きな課題だ。
SOZOWの担当者は「学校からの十分な情報提供がない場合、保護者が追い詰められてしまう。不登校の子どもの数が毎年のように過去最多を更新し、公的支援のみでは対応が難しい」と指摘。民間のフリースクールなどを含む、総合的な進路指導が学校現場で円滑に提供できるように社会全体で取り組む必要があるとしている。【隈元悠太】
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