宇都宮地裁=宮武祐希撮影

 2023年10月に栃木県上三川町でレンタカー内から高校1年の女子生徒(当時15歳)の遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄、不同意性交等の罪に問われた無職、安栖(やすずみ)達也被告(29)=埼玉県熊谷市拾六間=の裁判員裁判の判決が18日あり、宇都宮地裁(滝岡俊文裁判長)は懲役24年(求刑・懲役28年)を言い渡した。

 判決は、自殺願望があり思い詰めていた安栖被告がSNS(ネット交流サービス)を通じて女子生徒を誘い出し、性的暴行に及んだと認定。「金銭の誘惑によって判断能力の未熟さに付け入る卑劣な犯行」と指摘した。殺害については「(女子生徒の)激しい抵抗を排除しつつ、けい部を執拗(しつよう)に絞め続け、強固な殺意に基づくことは明らか」とし、「初対面の被害者が殺害されるいわれは全くなく、あまりに身勝手な犯行」と断じた。

 裁判では殺害の計画性が最大の争点だった。安栖被告が事件の約2カ月前からインターネットで「首絞め」「スーツケースに人が入る」といった言葉を検索していたことから、検察側は「計画的」と主張。弁護側は「パニックによる衝動的な犯行」などと訴えた。

 滝岡裁判長は「快楽目的による殺害計画が一定程度疑われるものの、断定を積極的に可能とする程度の立証が行われたとまでは言い難い」と双方主張を退け、「殺人の具体的動機を確定するのは困難」と述べた。

 判決によると、安栖被告は23年10月17日、東京都内の駐車場に止めた車の中で、女子生徒に性的暴行を加えた後、手で首を絞めて殺害した。遺体を乗せた車で上三川町まで移動し、途中、遺体を隠すためにスーツケースを購入したり、女子生徒の携帯電話を投棄したりしたが、19日未明に警察官から職務質問を受け、事件が発覚した。女子生徒を殺害する3日前には、都内に止めた車の中で別の女子生徒(当時15歳)に性的暴行を加えた。【池田一生】

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