記者会見に臨む曽我ひとみさん=香川県善通寺市の尽誠学園で2024年10月17日午後2時12分、川原聖史撮影

 北朝鮮による拉致被害者で2002年10月に帰国した曽我ひとみさん(65)が17日、香川県善通寺市の尽誠学園で講演会を行った。曽我さんは同校の教職員約70人に向けて「拉致問題はまだ解決していない。皆さんの家族が突然いなくなったら。拉致され知らない国に連れて行かれたら。自分のこととして考えてほしい」と訴えた。

 1978年8月12日午後7時過ぎ、新潟県旧真野町(現佐渡市)で母ミヨシさん(失踪当時46歳)と一緒に自宅近くの商店から帰る途中、3人の北朝鮮工作員に拉致された当時19歳の曽我さん。母ミヨシさんの消息は、今も分かっていない。

 帰国から22年が経過しても、拉致問題に進展が見られないことについて「石破茂首相には、早期に日朝会談の場を設けてほしい。拉致被害者全員の帰国に向けて交渉してほしい」と語った。また、北朝鮮の過酷な生活の中で拉致被害者の横田めぐみさんと一緒に過ごした日々についても触れ、「初めて会った時、めぐみさんは笑顔で迎えてくれた。2人きりの時は、小さな声で周りに気づかれないよう、家族や学校のことを日本語で話した」と振り返った。

 この講演会は、曽我さんから拉致問題の真実を聞き、教員が正しい知識を持って生徒たちに伝えられるように企画された。終了後、記者会見に臨んだ曽我さんは「拉致問題を風化させてはいけない。母が元気なうちに帰国してほしい。私も諦めない。母も諦めないでほしい」と胸の内を語った。【川原聖史】

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