老人ホームで職員が一斉退職した問題は、施設の閉鎖にも発展している状況です。

先週、千葉県の施設を紹介しましたが、そこでは入所者が退所することになりましたが、その前は職員がいなくて本当に悲惨な状況で、全くケアが行き届いていませんでした。

そうした混乱の中、入居者が亡くなっていたことが新たに分かりました。

11日に全ての入居者の転居が完了した、千葉市の住宅型有料老人ホーム「ドクターハウスジャルダン寒川」。
入居者の姿が消え、施設の周辺はひっそり。

職員の情報提供をきっかけに「イット!」が連日追跡取材を続けている“見捨てられた老人ホーム”問題。

同じ会社が東京・足立区や千葉市などで運営していた老人ホームで、給料未払いをきっかけに職員が一斉退職。
さらに9月末、突然、施設の閉鎖が告げられ、残された入居者たちが退去を強いられました。

そして14日、新たにこの混乱のさなか、千葉市の施設で入居する高齢者が亡くなっていたことが分かりました。

亡くなった入居者の後見人:
私、亡くなった方の成年後見人です。去年の12月オープンしてすぐにその方がそちらの施設に入所されて…。

14日、話を聞いたのは、亡くなった入居者の後見人を委任されていた社会福祉士の女性です。

亡くなったのは身寄りがない69歳の男性。
男性は寝たきりの状態で、意思疎通は取れるものの、言葉を発することはできなかったといいます。

亡くなった入居者の後見人:
ご本人、胃ろうとかで医療ケアがすごく必要な方で、私も月に1回とか面会に行っていた。

男性が入居していたジャルダン寒川は、2023年12月にオープンしたばかり。
パンフレットには「『安心した生活を送ることができる』をつくる」「どんなに老いても自分らしさを忘れない。笑顔が絶えない毎日を、それがオンジュアールが目指す光景です」といううたい文句が。

月額の基本利用料は10万6000円。
入居者は8畳前後の個室で暮らします。

亡くなった入居者の後見人:
9月14日に面会に行った。そのときはいつもと変わらない様子だった。

ところが、10月4日の明け方、施設から容体が急変したとの連絡が入ります。

亡くなった入居者の後見人:
内容が「呼吸が停止しました」ということで、折り返しお電話くださいとのことだった。ずっと(電話を)かけ続けてやっと朝7時過ぎになって、看護師さんが出られて、「呼吸が停止して、お亡くなりになっている」と。

診断書に書かれた男性の死因は老衰。

突然の事態に、部屋に駆け付けた後見人の女性は、室内の荒れ果てた様子に驚いたといいます。

亡くなった入居者の後見人:
遺体を運び出したんですけど、ベッドの下はホコリとかで汚れてたし、洗面所の方には、そのまま外した使用済みのオムツが床に置いてあったり。

男性が亡くなったのは「イット!」がこの問題を報じた直後のこと。

当時の施設内は、残されたわずかなスタッフが入居者の対応に当たる大混乱の真っただ中でした。

亡くなった入居者の後見人:
コップにもお水が入ったまま、そのまま放置というか、片付けもできなかったんでしょうね。シーツの汚れを見たときに衝撃もありましたけど。

この危機的状況の中で、強く印象に残っているのが、最後まで残って働き続けたスタッフの姿だったといいます。

亡くなった入居者の後見人:
看護師さんは「この年齢で自分たちも行くところがないんです」「明日からは職がないんです」なんて言っていた。本当にこういうことがもう二度とあってはいけないな。自分自身がもっと何かできたのかなってそういう悔しさはあります。

この問題を巡っては、新たに九州からも驚きの情報が寄せられました。

北九州市のジャルダン若戸の元職員:
(Q.閉鎖を知ったのは?)10月に入ってからです。(Q.どうやって知った?)テレビ放送で知りました。

自らの職場の閉鎖を「イット!」の放送を見て知ったと話すのは、同じ運営会社が福岡・北九州市で展開していた「ジャルダン若戸」の職員です。

海に面した絶好のロケーションに2024年2月にオープンしたばかりだったというこの施設。

北九州市のジャルダン若戸の元職員:
(Q.給料は?)8月分から出てませんね、2カ月分。

他の施設と同様に、給料未払いによる職員の退職が相次いでいたといいますが、施設閉鎖を告げる貼り紙が届かず、職員も入居者も寝耳に水の事態。

北九州市のジャルダン若戸の元職員:
放送を見て、同じ系列(の運営)ってだいたい見たら分かりますので、まさか自分の所もとは思ってなかった。ご家族さんももう寝耳に水の形だったように思います。

行政の協力もあり、退去期限の10日までに何とか入居者全ての転居を終えたといいます。

北九州市のジャルダン若戸の元職員:
親しくされていた(入居者の)方には、やっぱり泣かれる場面もありまして、ちょっとこちらも辛いな、申し訳ないなと思います。

※FNNでは「老人ホーム一斉退職問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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