山口県防府市在住の能面師、松田龍仁(りょうにん)さん(83)が、同県下関市中之町の亀山八幡宮に「般若」の能面を奉納した。亀山八幡宮は、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に能を奉納したことに由来する「亀山能」を毎秋開催。能の継承に共感した松田さんが2008年から毎年奉納を続け、今回で18面目となった。
「般若」は、女性の嫉妬と恨みを表現した怨霊(おんりょう)の面で、面の上部は苦しみや悲しみ、口元など下部は怒りを表している。松田さんは、江戸時代の面を参考に、昨年末から制作を開始。面に傷や汚れを施して使いこまれた様子まで忠実に再現し、約5カ月かけて今春完成させた。
9月27日に亀山八幡宮で開かれた「能面奉納式」では、能面が神前に供えられ、神職が祝詞をあげた。竹中信彦宮司(49)から「神納之証」を受け取った松田さんは「僅かな違いでも能面の表情は変わる。悲しい目、怒っている表情が般若の特徴なので、歯や目を作るのが難しかった。能で誰かが実際に使ってくれればうれしい」と話していた。
亀山八幡宮では、10月15~20日に松田さんが奉納した面を一堂に展示する能面展を開催予定。【橋本勝利】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。