袴田巌さん=代表撮影

 一家4人を殺害した罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審無罪判決について、静岡地検は9日、上訴権(控訴)を放棄した。これにより、10日の控訴期限を待たずに袴田さんの無罪が確定した。

 検察側は8日に畝本直美検事総長が控訴をしない旨の談話を発表。再審判決で、袴田さんの犯行時の着衣だとする「5点の衣類」などの証拠が捏造(ねつぞう)とされた点を「到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」だとする一方、袴田さんが長年、法的地位が不安定な状況に置かれてきた事情を考慮し、控訴を断念したと明らかにしていた。

 最高検察庁は今後、今回の再審請求手続きが長期間に及んだことなどの検証を行う方針を示している。9日には静岡県警の津田隆好本部長が取材に応じ「袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれていたことについて申し訳なく思う」と述べた。【丘絢太、最上和喜】

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