札幌で小学生の男の子が男子中学生から性的ないじめを受けた問題。10月8日公表された調査報告書で学校側の対応の不備が指摘されました。

母親が苦しい胸の内を吐露

 男の子の母親が苦しい胸の内を話してくれました。

 「教育委員会から『調査が始まると被害者側の小学校にかなりの負担が出てくるので、先生方が大変になりますよ』っていうことを言われました。何度も何度も私たち、息子の心を数えきれないほど殺された」(被害児童の母親)

 カメラの前で声を絞り出す母親。大切なわが子が性被害に会い、その後、学校や市教委の対応に苦しみ続けてきた思いを吐露しました。

 事件が起こったのは2021年5月でした。当時小学3年生の男子児童が同じスポーツ少年団に通っていた中学1年生の男子生徒から繰り返し市内の公園で下半身を触るよう強いられるなどの被害を受けました。

 話を聞いた母親が警察に通報。警察が捜査し、男子生徒は家庭裁判所で保護観察処分となりましたが、男子児童は不登校となりました。

 「私が母として至らなかったから、子どもが家の目の前で性被害に遭ってしまうということも起こってしまったんだなと考えてしまいました」(被害児童の母親)

調査報告まで3年以上…

 一方、母親は事実関係を明らかにしたい、加害生徒に厳しい指導をしてほしい、さらに再発防止の方法を学びたいなどの思いから学校や市教委に法律にもとづいた「いじめの重大事態」として第三者委員会による調査を求めました。

 しかし調査が始まったのは、被害の発覚から10か月も経った後でした。

 「私が市教委に要望書を持っていくといったら、教頭が笑顔で受けとって、預かっておきますからと。預かっておくのが金庫の中に数か月も保管されることになるとは思いませんでした」(被害児童の母親)

 「被害児童およびご家族に不安な思いやご心配をおかけしてしまいました。深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」(市教委)

 いじめから10月8日の報告まで3年以上…。UHBの単独インタビューでも母親は不信感をあらわにしていました。

 「(学校や市教委が)子供たちの声を聞く気がないと今もまだ感じています」(被害児童の母親)

 中学校には登下校で2人が顔を合わせないよう求めましたが…

 「見守りしてとお願いしたが、中学校校長は『先生の人数が足りないので難しい』と(言った)」(被害児童の母親)

 その後、中学校は2人の通学路を別にするなど対応しましたが、男子生徒が通学方法を変更したことなどを保護者に伝えませんでした。

 「その時間に通ると宣言をしている地図があったが加害者が通っていない。中学校に確認したら、実は加害者の親が車で送っていたと言われた。もう言葉も出ない」(被害児童の母親)

 この対応に被害児童も…

 「本当につらかった」(被害児童)


第三者委の報告では厳しい言葉

 10月8日の第三者委の報告では厳しい言葉が続きました。小学校に対しては…

 「具体的な対応や支援に関しては元教頭のみで判断が行われており、情報の共有管理がずさんで、不適切であると判断しました。児童精神科医からはストレス性障害の診断が下りていましたが、教員間で情報が共有されていませんでした。背後には、性被害とその予後に対する認識が不足していたと考えられます」(第三者委)

 中学校に対しては…

 「被害者と加害者の接触機会は排除されるべきものであるが、一連の中学校の対応からは重大性の認識があったとは言い難い」(第三者委)

 そして市教委には…

 「教育委員会は小中学校に対応を任せるのではなく、積極的に介入に入り、中心的に対応すべきであったと判断しました。保護者が中学校と直接協議をせざるを得ない状況を黙認したことは不適切であると判断しました」(第三者委)

 報告を受けて市教委は再発防止に努める考えを示しました。

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