秋田県職員と業者による新たな贈収賄事件が、6日明らかになった。県職員の三浦容疑者は、2つの贈収賄事件で罪に問われる可能性があることになる。これまでに分かっていることを確認する。

三浦容疑者は、2024年3月まで県秋田地域振興局建設部保全・環境課に所属し、道路や河川などの維持管理業務を監督する立場にあった。監督上の立場を利用したとみられる。

そして、県の事業を再委託されることで会社の売り上げを得たのが、男鹿市の目黒林業と横手市のクラフト。

なぜ2社と三浦容疑者がつながったのか。今後の捜査や裁判で明らかになるということが前提だが、ポイントは三浦容疑者と2社の役員の関係だ。

小松谷容疑者は、クラフトの取締役を務めている。三浦容疑者とは十数年前からの知人で、飲食を共にする仲だった。目黒林業の社長だった目黒被告も同様で、三浦容疑者とは2016年ごろに知人を通じて知り合い、飲食を共にするようになったという。

便宜を図り、見返りの金を受け取ったときには、いずれも三浦容疑者と「知人関係」だった。

2023年7月の記録的大雨で秋田中央道路トンネルが冠水し、長期間にわたって通行止めになったことは記憶に新しい。三浦容疑者はその際、復旧のための排水業務の再委託先に「クラフト」をあっせんした。その見返りとして2023年12月に現金100万円を受け取っている。

クラフトは、このほかにも県の事業を請け負っていることが分かっていて、警察がほかに「あっせん」や「金の受け渡し」がなかったか捜査を進めている。

一方、目黒林業には、秋田市北部の道路沿いの木の伐採業務が再委託されるようあっせんした。三浦容疑者は2024年1月と3月に、現金計150万円を受け取っている。

県の組織の人間があっせんすることは、そう簡単なことではない。三浦容疑者はどうして2社に便宜を図ることができたのだろうか。

2023年7月の記録的大雨では、県内の多くの地域で甚大な被害が出た。県によると、災害に対応していた際は、通常は複数人で行うべき監督業務の「人手が足りていなかった可能性がある」としている。可能性としては、通常は複数のチェックの目が入るものを、実質1人で作業を進める場面があったことが考えられる。

これまでの逮捕・起訴された内容の事実関係はもとより、ほかにも容疑や罪があるのかは、今後の捜査や裁判で一つ一つ明らかになる見込み。

目黒林業との贈収賄事件については、10月24日に裁判が始まることが決まっている。警察はこれまで、三浦・目黒両被告が調べに対し、どのような話をしているのかを明かしていない。法廷で両者が何を語るのか、そして、二度と起こらないように県がどのような対策を進めるのかをしっかりとみていく必要がある。

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