兼好法師ゆかりの寺で、不正な土地取引をした罪などに問われている元住職の男について、大阪地方裁判所はきょう7日、実刑判決を言い渡しました。

事件が起きた寺はいま、廃寺となる危機に陥っています。

■「平安時代創建」「兼好法師」ゆかりの寺の元住職が罪に問われ

平安時代に創建されたと伝えられる兼好法師ゆかりの寺・「正圓寺(しょうえんじ」の住職だった、辻見覚彦被告(57)。

起訴状などによると、特別養護老人ホームの建設をめぐって資金難に陥り、建設会社から土地が差し押さえられるのを免れるため、寺の土地を売却したように装って、虚偽の登記をした罪などに問われていました。


■特別養護老人ホーム建設めぐり「差し押さえ免れようと」

事件の発端は、辻見被告が寺の境内に特別養護老人ホームを作ることを計画したことでした。

檀家が減り、収入が減った寺の経営を立て直すための秘策でしたが、大阪市に虚偽の書類を提出していたことが発覚し、手にするはずの補助金がストップ。

資金繰りが悪化して建設会社への支払いが滞る事態となり、差し押さえを免れようと、寺の土地の一部を共犯の男の会社に売ったように見せかけるため、犯行に及んだということです。

【正圓寺・元住職 辻見覚彦被告】「一時的に資産を隠さんと全部取られるよ、移転登記した方がいいと(共犯の男に)たきつけられて。それをうのみにして信じて言われたとおりに、はんこをついてしまったのかなと。(Q.どの書類に押印したのか覚えていないのですか?) そうですね」

■辻見被告は「立て直し」に意欲も…「廃寺」の危機に

これまでの裁判で辻見被告は辻見被告は起訴内容を認め、検察側は懲役4年を求刑していました。

「早く寺に戻って、住職として立て直しを図りたい」、取材に対してこう語っていた、辻見被告。

住職不在の正圓寺は事件以降、檀家や参拝客が減少し経営難に陥っています。

僧侶4人によるボランティアで細々と運営されているのが実情です。

【正圓寺 南奉秀文住職代行】「檀家の名簿を見たときは100前後ありました。そこから、大体20軒くらいは離壇(檀家を離れること)された」(Q正圓寺の規模に対して檀家の数が2桁なのは?)「かなり少ない」

■大阪地裁が言い渡したのは「懲役2年6カ月」の実刑判決

そして迎えたきょう7日、大阪地方裁判所(中井太朗裁判官)は、「被告は、特別養護老人ホームの差し押さえを免れる目的などで犯行に及んだ。また、寺を守りたいという動機があったのは否定しないが、ほかの共犯らが”寺を助けてくれる”と妄信したのは軽率だった言わざるを得ない。犯行を主導したのは別の被告人らであるが、被告は住職として犯行に不可欠な役割を担った」懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡しました。

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