パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘中止を求める決議や意見書が9月末までに全国28の都県議会で可決されている。戦闘開始から7日で1年。ガザ保健当局によるとガザ側の死者は4万人を超え、多くの子供たちも犠牲になっている。武力によらない解決を求める声が広がっている。
毎日新聞が各議会の公式ホームページや議会事務局への取材で確認した。23議会が決議を、5議会が衆参両院議長や首相らに宛てた意見書を可決した。
戦闘は2023年10月7日、ハマスによる越境攻撃をきっかけに始まった。イスラエルが「ハマス壊滅」を掲げて、ガザ地区を激しく空爆し、地上侵攻した。
決議や意見書は23年11~12月、岩手を皮切りに東京、三重など計19都県議会が相次ぎ可決。戦闘が長引く中、24年3月にさらに3県議会が、6~7月に6県議会が可決している。
23年12月に福島県議会が可決した意見書は、ハマスによる越境攻撃を「テロ行為」とするとともに、イスラエルの反撃もあって「双方から罪のない子どもたちを含む一般市民が多数巻き込まれる深刻な事態に陥っている」と指摘。紛争当事者に国際法違反の行動を直ちに停止するよう迫り、日本政府には停戦に向けて国際社会の議論をリードするよう求めた。
沖縄県議会も23年12月に可決した決議で、ガザ地区の状況について「凄惨(せいさん)な沖縄戦の記憶と重なり、多くの県民が心を痛めている」として「即時の人道的停戦」を求めた。都道府県議会だけでなく、市町村議会でも同様の決議や意見書が多数可決されている。
熊本大の伊藤洋典教授(政治学)は「悲惨な状況を前に『何か声を上げなくては』という議会の受け止めを表している。地方レベルでの意思表明は世論の流れを作るうえで無駄ではない。停戦に向けた日本の外交努力などを間接的に後押しする可能性がある」と指摘した。【中村敦茂】
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