特集は二つの災害に見舞われた石川・能登地方の今です。

(記者)
9月25日から石川県輪島市の女子中学生含む安否不明者の捜索などを取材してきました。正月の地震被害の影響が残る中、記録的な大雨による被害を受けた能登。懸命な捜索や復旧が続いています。重機ボランティアとして現地に入っている長野県信濃町のNGO代表は「人が集まれば、できることは多くある。多くの人手が必要」と訴えています。


石川県輪島市のグループホームの駐車場。重機で土砂を撤去しているのは「助さん」こと吉村誠司さん(59)。

長野県信濃町在住で災害救援NGOの代表をしています。正月の地震被害に続き能登で活動しています。

災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「今回の地震で、なんとか立ち上がりつつあった人たちが、またやられてしまったり、街の中でも再建したお店とかもかなり水没したので、『うわ、すごいことになったな』と」

9月21日―。

奥能登を襲った記録的な大雨。

川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、死者・安否不明者は10人以上にのぼっています。


このうち、女子中学生などが行方不明になった輪島市の塚田川では連日、懸命の捜索が行われていました。

(記者リポート)
「きょうから捜索は海岸沿いでも行われています。あたりには流木があり、消防などが懸命に捜索を行っています」


輪島市では正月の地震でおよそ2200棟(9月24日現在)が全壊しました。

その被害が残る中、今回、河川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。

60代男性:
「地震も1月1日にあって大変つらい思いをしましたけど、家の修理が終わって、さあ落ち着いてで雨じゃないですか」

河井町に住む60代の男性。1階が浸水し、現在は妻と一緒に2階で暮らしています。この日は泥にまみれた家具を洗い、運び入れる作業をしていました。

1階が浸水・60代男性:
「使えなくなったものはいっぱいあるし、変なこと言えば若いときの思い出とかね。全部なくなりましたね」


地震と大雨。

市民は疲弊しておりボランティアなど、多くの人の手がほしいとの声が上がっています。

1階が浸水・60代男性:
「(必要なのは)ボランティアの方々でしょうね。来ていただいて(家の)中の整理と一緒に運び出しをしていただけるというのがありがたい」


そうした中、冒頭で紹介した吉村さんは23日から輪島市や珠洲市に入り土砂や流木の撤去を続けています。

東日本大震災、台風19号災害など数々の被災地で活動してきた吉村さん。

2024年1月の地震被害でも輪島市で瓦礫の撤去などをしてきました。


今回の被害はさすがの吉村さんも。

災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「いや、ほんと、がくぜんとしましたね」


9月29日は一般ボランティアと一緒に輪島市二俣町で活動しました。

災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「ちょっと応援団を連れてきました」

高齢の夫婦が住む住宅。裏山が崩れ、土砂が建物に押し寄せています。


災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「腰痛めるから無理しないでね」

支援を受けた住民:
「こんなことしてくれる、すぐ来るなんてびっくりですわ。本当にありがとうと思っています。これは心から」


続いて向かったのは、輪島市山本町にあるグループホーム。1階が浸水被害に遭い80代~102歳までの高齢者18人は今、2階で生活しています。

グループホームのスタッフ:
「土砂が最初あっちの山から崩れてきたのが見えて、崩れたなと思ったらこっちに来てました」

流木や土砂に埋まった駐車場。施設やスタッフの車は動かせなくなりました。


タイヤを外して、詰まった石を取り除いていきます。

グループホームのスタッフ:
「うれしくなる感じですよね。元気をいただけて、すごくうれしいです」

エンジンをかけてみるとー。

グループホームのスタッフ:
「おー!すごい、すごい。ちゃんとかかりましたね」


取材中、吉村さんは土砂を撤去し2台の車を「救出」しました。

スタッフの車も移動―。

災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「イエーイ、出ました。裸足です。(車の)中、ぬれてないです。奇跡的だね、これ」

グループホームのスタッフ:
「うれしいしかないです。ほんとホッとしました。日常に戻っていけるかな。また頑張っていきます」

二つの災害の爪痕が残る能登。

吉村さんは「できることはたくさんある」とボランティアへの参加など支援を呼びかけています。


災害救援NGO代表・吉村誠司さん:
「震災から立ち上がった人がもう1回やられてしまったり、もうはっきり言って心が折れています。だから、折れた人たちをどう支えるかは、自分の道具、そういったもの準備して自己完結型で来れば、やることはいっぱいある。お待ちしてます」


石川県は災害ボランティアを募集していて県の特設サイト『令和6年(2024年)能登半島地震・石川県災害ボランティア情報』から申し込めます。また吉村さんが代表を務めるNGOも活動支援カンパを募っていて、詳細はフェイスブックで確認できます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。