X(旧ツイッター)のアカウントのフォロワー数が107万を超え、公的機関のアカウントとしては異例の「インフルエンサー」となっている警視庁災害対策課。工夫を凝らした投稿で好評を博すが、中でも、日常にまつわる身近なものに関するアイデアは反響が大きい。食品の保存などで使用するチャック付きポリ袋の収納量を増やす方法や、動かなくなった車を簡単に移動させる方法を紹介し、話題となっている。
身近な「おふくろの知恵」を投稿
《チャック付ビニール袋と収納物のサイズが合わない場合があります。そんな時は2枚の袋をうまく使って入れましょう》
食品や薬など、さまざまな小物の収納に活用できるチャック付きポリ袋だが、使い捨てのスプーンや割りばしなど長いものを入れようとすると口が閉じない。
この「オーバーサイズ問題」についてポスト(投稿)したのは、同課の中園晴菜主事(30)と田中千瑛(ちあき)巡査部長(36)だ。解決方法は簡単。袋を2枚用意し、1枚の口を外側に折り返してもう1枚を上からかぶせてチャック部分を結着させることで、収納量を増やせる。
「母から教えてもらった方法で、職場で披露してみたら驚かれたので、皆さんにもと思って投稿してみました」と中園さん。1月に投稿後、「いいね」数は3万を超える。田中さんは、「構造上、2枚をくっつけると、どうしてもふちに隙間ができてしまい、密閉はできない。液体やこぼれやすいものを入れるのには向いていないので注意を」と明かした。
機動隊時代に先輩から伝授
軽乗用車でも数百キロの重さがある自動車。運転中に故障した場合、道をふさがないように路肩などに移動させたいが、押して動かすには、かなりの体力が必要になる。
山﨑健二警部補(47)はXで、車のギアをニュートラルに入れてサイドブレーキを外した上で、《直接手でタイヤを回すことにより軽い力で動かすことができます》と紹介。投稿には実際に移動させている写真も添えた。
「20代で機動隊に在籍していた際、先輩から教わった」と山﨑さん。やってみると、どのタイヤでも移動させることが可能で、「力はそれほどいらず、片手で十分」という。踏切などで急に故障してしまった場合や、災害時の緊急対応などに備え、覚えておきたい。
山﨑さんは、「坂道などで車を動かすと止まれなくなることもあり得るので、周囲の状況をしっかり確認してから動かすようにしてほしい」と話した。
マイクロチップで飼い主探しも
災害に備えて、水や食料を買ったり、家族の集合場所を決めたり、避難場所を確認したり-。それぞれ備えるべきことはあるが、一緒に暮らすペットの避難についても、考えておく必要がある。1月の能登半島地震では、ペットを避難所に連れていけないため、一緒に車中泊をしているという人もいたからだ。
自身も猫を2匹飼っているという老川和広警部補(51)はXの投稿で、ペットフードやトイレ用のシートの準備に加え、皮膚の下に埋め込むマイクロチップの装着を推奨する。チップを装着していれば「はぐれてしまっても、飼い主を探すことができる」と話す。
また、ペットがキャリーバッグの中で過ごすことに慣れていると、避難する際に役立つとも説明。老川さんは、「環境の変化への適応が難しいペットもいると思う」としつつ、「飼い主がそれぞれの性格に合わせて、何が必要か考えてあげてほしい」と呼び掛けた。
(橋本昌宗)
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