静岡地裁での判決を受け、「再審無罪」と書かれたタオルを掲げる参加者ら=岐阜県瑞穂市の朝日大で2024年9月26日午後2時8分、稲垣洋介撮影

 強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審判決を現地とつないで見届けようというイベントが26日、岐阜県瑞穂市の朝日大であった。岐阜県弁護士会と同大の主催で、学生や一般市民ら約160人が参加。静岡地裁の無罪判決を受け、「再審無罪」と書かれた手作りのタオルを掲げて喜び合った。

 昨年9月、袴田さんの姉ひで子さん(91)を招いてシンポジウムを開催したのを機に企画。弁護士が事件の概要や再審公判の争点などを解説し、午後2時の判決を待った。

 静岡地裁前では岐阜県弁護士会の会員がズーム配信で実況中継し、無罪判決をいち早く伝えると、会場から拍手が起こった。同大法学部の大野正博教授は「歴史的な瞬間に立ち会えたのはとても貴重な経験になる。冤罪(えんざい)は他人事(ひとごと)ではなく、再審法が変わるよう声を上げていこう」と呼びかけた。

 シンポジウムで事件を初めて知ったという法学部2年の後藤汰良(たいら)さん(20)は「50年以上も争ってきたことに衝撃を受けた。無罪判決が出て心の底からうれしい」と話した。

 岐阜県弁護士会の杉村鎮右弁護士は「誤った時に正すことができないのが日本の再審法の現状。袴田さんの悲劇を二度と起こさないよう、再審法改正を後押ししていきたい」と語った。【稲垣洋介】

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