警視庁

 中古貨物船の輸出先を偽って税関に申告したとして、警視庁公安部は26日、大阪市の船舶売買仲介会社「丸吉通商」と、同社の代表取締役の60代男性を関税法違反(虚偽申告)の疑いで書類送検した。

 捜査関係者によると、貨物船は申告上のアラブ首長国連邦(UAE)ではなく、イランに輸出されていたという。イランは民間船舶に対する襲撃への関与が指摘されている。

 書類送検容疑は2021年5月ごろ、貨物船1隻(総トン数499トン)をUAEの企業に輸出するという虚偽の申告書類を税関に提出したとしている。

 貨物船の位置情報を分析したところ、輸出後に東南アジアを経由してイランの港に到着していたことが判明。公安部は今年2月、丸吉通商や関係先を関税法違反の疑いで家宅捜索していた。

 外務省によると、イランへの貨物船輸出は禁止されていない。一方、民間企業は米国が独自に科している金融制裁の対象となるリスクを警戒し、イランとの取引に慎重になっているとされる。

 貨物船は1997年に建造され、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)などが所有していたが、21年4月の競争入札で、丸吉通商が落札していた。【木下翔太郎】

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