1966年、静岡県清水市(当時)で一家4人が殺害された”袴田事件”のやり直し裁判の判決が9月26日に出されます。そこで、判決の見通しなどを菊地幸夫 弁護士に聞きました。

あらためてこれまでに死刑判決の確定後に再審となった事件がこちらの4つです。いずれも再審では無罪判決となりました。

-今回の袴田さんの再審でもやはり無罪の公算は大きい?

菊地幸夫 弁護士:
今回の再審の裁判では衣類に付いた血痕が味噌の中で色が変わるか変わらないかについての検察側の証人が検察官の主張を立証しなければいけない割には、証言が揺らいでいた証人がいたというところからも無罪の可能性が高いのではないかと思います。

検察は面子

そして東京高裁は再審開始決定で、確定判決において犯行着衣とされた5点の衣類を発見された場所に隠したのは「捜査機関による可能性が極めて高い」と捏造の疑いに言及しています。

-捏造について裁判所は踏み込むと思いますか?

菊地幸夫 弁護士:
1つは、今回の裁判長が袴田さんに呼びかける時に「袴田さん」と呼びかけをしましたが、これは異例のこと。普通は「被告人」という法律上の呼び方をしますが、そういう思いを裁判長が持っているということ。

無罪で終わったとしても補償・賠償の問題が控えている。

これは刑事と民事、違う分野のことですが、もし今回の判決で捜査機関による捏造の可能性が極めて高いというようなことを裁判所が出したとしたら、それは後の民事の補償に事実上の影響を与える、袴田さんには非常に有利になる。そういったことを裁判官が考えている可能性はあると思います。だから踏み込む可能性はかなり高いのではないかと思います。

検察としては捜査機関による 捏造と言われたら面子にかけても取り消さなければならない。最高裁まで争うということにもなりかねない。

どこからつついても崩れそうもない判決文が出れば検察は控訴しないかもしれない。それは裁判所のファイトにもかかっていると思います。

無罪となった場合がこちらです。検察側が控訴しなければ無罪が確定しますが、東京高裁に控訴することもできます。

-無罪となった場合、菊池さんは検察が控訴すると思いますか?

菊地幸夫 弁護士:
死刑求刑ですからそれで控訴しないというのは、何で死刑求刑などしたのかということになりますが、50年以上の月日が袴田さんに重くのしかかっているものを考えると控訴断念ということになる可能性も大いにあると思います。

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