オンラインの記者会見で「ナスカの地上絵」について説明する山形大の坂井正人教授(画面右上)=山形市で2024年9月24日、竹内幹撮影
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 南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」について山形大の坂井正人教授(文化人類学・アンデス考古学)らの研究グループは、人工知能(AI)を使い、新たに303点の地上絵を発見したと発表した。これまでにナスカの地上絵は430点が特定されていた。

 地上絵には、世界でも有名なハチドリやサルを描いた大型(平均約90メートル)の「線タイプ」と、石をよけたり、積み上げたりしてかたどった小型(平均約9メートル)の「面タイプ」がある。

 研究グループによると、今回、発見したのは面タイプで、人間やリャマといった家畜などをモチーフにしたものが多く、小道沿いに点在していたという。個人や小規模な集団が、儀礼などの情報を共有する目的で描いたとみている。

 山形大は2004年から地上絵の研究を始め、12年には現地にナスカ研究所を設立した。18年からはAIを活用して調査してきた。

 既存の地上絵をAIに学習させ、航空写真から新たな1309カ所の調査候補地を選定。22年9月~23年2月にナスカ台地から紀元前100年~紀元50年ごろに描かれたとみられる具象的な地上絵303点を特定することに成功した。

 ペルーから24日にオンラインで記者会見に臨んだ坂井教授は「AIの活用により今後も500以上の地上絵が見つかるのではないか。文字のない世界で、何が描かれていたのかを解読するカギを見つけたい」と語った。【竹内幹】

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