生活上の便宜を図る見返りに現金をやりとりしていた疑いで、9月18日に盛岡少年刑務所の刑務官と受刑者、2人の男が逮捕されました。
岩手めんこいテレビはこの事件について、2024年4月に平田容疑者が知人の弁護士に宛てた手紙を入手しました。

この事件は、2023年11月ごろから2024年1月ごろまでの間、盛岡少年刑務所の中で、刑務官の坂本孝誠容疑者27歳が、31歳の受刑者・平田容疑者に対し、雑誌やアルコール類など法令で持ち込みが禁じられている物を何度も差し入れ、その見返りに現金十数万円を受け取ったとして2人が贈収賄の疑いで逮捕されたものです。

警察は捜査に支障があるとして2人の認否を明らかにしていません。

岩手めんこいテレビはこの事件について、新たな情報を入手しました。
2024年4月、平田容疑者が知人の弁護士に宛てた手紙です。
その手紙には次のような内容が書いてありました。

「所内の職員からゆすりを受けていました。まず不正に菓子を手渡され、断ったものの理由を付け、押し付けられたのが始まりです」
「何度かそういうことがあった後に金銭を要求され、断るも私の刑期が人より長いことを挙げ『仮釈放が欲しいなら言うことを聞け』とそういう話をされました」

手紙の最後には自身の心境を綴っていました。
「被害を受けているのに私は人生の尊い時間を奪われる」「そんな横暴に屈するくらいなら死んだ方がいい」

警察はどちらが主導的な立場だったかを明らかにしていませんが、引き続き事件のいきさつを捜査しています。

※以下は平田容疑者が知人の弁護士に宛てた手紙です。

前略
ご無沙汰しております。
力添え願いたく筆を執らせていただいた次第です。

事の概要は、所内職員からゆすりを受けていました。
順を追うと、まず不正に菓子を手渡され、断ったものの理由を付け押し付けられたのが始まりです。何度かそういうことがあった後に金銭を要求され、断るも、私の刑期が人より長いことを挙げ、「仮釈放がほしいなら言うことを聞け、職員なら調査(※)にすることなんか容易だ」と、そういう話をされました。
仮釈放と天秤にかけたとき、待つ者のもとへ1日でも早く帰りたい気持ちが強く、金を渡すことにしました。見返りのような形で所内では所持できない物を渡され、私はそれらを捨てる術を持ち得ないため、仕方なく所持していました。
すると、金銭の要求を断ると、その所持している物を理由に、「部屋の調べに入れば一発で調査になるぞ」と脅されました。、
回数と金額は、実際に渡したのが2度、初回が10万円、次から5万円です。その後も要求されており、5万円と20万円で25万円を要求され、もう聞いていられないため断っていた矢先に部屋の調べが入り、それらの物が原因で調査になりました。
4月2日午後には不正所持という形で調査になり、外部の方も調べに訪れ、一応すべてを素直に話しました。担当職員に相談しなかったことなども指摘され、確かにそれは私の非ではありますが、職員同士の仲があるからチンコロ(※)したら仮釈放もらえなくする旨も言われていたために相談できませんでした。
やはり、刑務官と受刑者では天と地の差があります。私は12年という刑期を全うしている中で、仮釈放というものがどれほど大切か日々考えております。そこに刑務官という立場を利用して、ゆすりをはたらいてくる、そんな外道に人生を奪われたくないです。
率直に申すと、工場で現在私にしか行えない作業があるため、それを済ませた時点でその刑務官と面と向かってやり合う覚悟でいました。理由は、金を払い続けることをやめたいこともありますが、何よりも担当や工場の同囚、私を信頼してくれている方々には申し訳なく、皆の前で本来の私として堂々と立っていることができなくなっていたからです。いつも不安で死んでいるような日々でした。
このまま仮釈放を目指すくらいなら、面と向かってやり合い、その責任を取り、また一から堂々とやり直す道を覚悟していました。しかしそこに至る前に調査になりました。
どんな理由であれ、反省すべき点がありましたし、信じてくれていた方々に申し訳ない気持ちはあります。面と向かいやり合った先に、罰を受けすべてを失う覚悟は有してましたが、このまま不正所持という形で罰を下されるのであれば、正直納得がいきません。
本件職員が存在しなければ起きなかった事案なうえ、被害を受けているのに、罰を受ければ私は仮釈放にも影響し、所内で築いてきたものもすべて失います。
向こうは最悪辞職で済む、私は人生の尊い時間を奪われる、そんな横暴に屈するくらいなら死んだ方がいい。
ただし納得のいかぬ結果になったときには徹底して戦い、今後同じ苦しみを味わう人が現れないように、私の人生をかける覚悟でおりますので、その際はどうかお力添えのほど、よろしくお願いいたします。
本件職員は、坂本孝誠(二十代)という者で、俺に対して「平田、外では力持ってるみたいだけど刑務所では関係ないから」と笑って言ってきたりした世間知らずです。
こっちは長い刑期だから社会とのつながり最低限にして体ひとつ真剣に臨んでるのに、奴にゆすられて、名も汚され恥です。刑務所では関係ないらしいから、社会で恐喝で提訴して責任をしっかり取らせた方が、彼の今後の人生のためにもいいのかと考えていますが、意見聞かせてください。よろしくお願い致します。
長々と綴り、かなり乱筆な上、乱文となり申し訳ありませんが、何卒、よろしくお願い申し上げます。

令和6年4月7日記
平田将

※調査
刑務所内で反則行為をしたと疑われる人や関係者から事情を聴取して、所持品検査、居室の検査などを行うこと。
※チンコロ
密告すること。

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