約34年ぶりの円安水準となった為替相場の影響は、インバウンドの拡大にはプラスとなるものの、我々にとっては輸入品価格の値上がりによる物価高などマイナスの方が大きいように感じます。

その他の要因もあって4月の食品の値上げは約2800品目で、2024年に入って最多となっています。

一体この値上げラッシュいつまで続くのでしょうか。切実な悩みを抱える飲食店の声を聞いてきました。

半年ぶりの値上げラッシュが来ています。

特に輸入食品の値上げが大きく、老舗洋食店はこの厳しい状況を何とか切り抜けようと大きな決断を下していました。

食品値上げの直撃受ける飲食店

北村花絵アナウンサー:
では、いただきます。熱々で濃厚なトマトソースが面によく絡んでおいしいです。

静岡市駿河区のグラデボール日本平店。お店イチオシはトマト缶をたっぷりと使用した、こちらのパスタですが・・・

グラデボール日本平店オーナー・櫻田裕二さん:
トマト缶がイタリアから輸入しているもの。それが今思い切り上がっていますね。

(Q具体的にはどれくらい上がっている?)
2024年に入って約1.2倍上がっているが、コロナ前から比べると1.6~1.7倍上がっている

値上げの連続に業態変更を決断

相次ぐ食品の値上げ。こちらの店では、トマト缶やオリーブオイル、チーズなどイタリア料理には欠かせない食材の値上げが重なっているといいます。

グラデボール日本平店オーナー・櫻田裕二さん:
一番すごいのはオリーブオイル。コロナ前から行くと約3倍に上がっている。正直、感覚がマヒしているので何とも言えないですが、以前の感覚ではとても商品は作れないです。2023年から段階的に値上げしているが、値上げした先から別の食材の仕入れ値が上がっているのでとても追いつかない

2024年3月からはカジュアルイタリアンからパスタ専門店に業態変更。

メニュー構成を変え、前菜はこれまでの2~3割に絞ったほか、ピザも5種類を2種類に、肉料理も2種類に減らし、パスタに主軸を置くことにしました。

料理の質は落とさずに提供したいという強い想いからです。

グラデボール日本平店オーナー・櫻田裕二さん:
いろんなものが値上げをしている中で、同じ価格で商品を作ろうと思うとチープになってしまう。使っている食材が小さくなったり、質が悪くなったりするとどうしてもチェーン店と同じような味になってしまうという懸念があるのでそれは避けたい。常連のお客様からは頑張ってという支持はいただいている。ここまで続けてきたという自負もあるので何とか頑張っていきたい

グラデボール日本平店

グラデボール日本平店によると「トマト缶」はコロナ前からだと1.6~1.7倍になっているのを始め、チーズや肉はコロナ前の2倍、オリーブオイルはコロナ前の約3倍の値段になっているそうです。ちなみにオリーブオイルは月に5L缶を10本は使用するそうです。

オーナーの櫻田裕二さんは「値上げ続きで感覚がマヒ。以前の感覚では商品が作れない」と話しており「加えて人件費も上がっている」と嘆いていました。

4月食品値上げ2806品目に!

4月の値上げラッシュはどんなもので今後どうなっていくかについて見てみましょう。

帝国データバンクによれば4月の食品値上げ2806品目もあったそうです。

中でもハム・ソーセージなどの畜肉製品や冷凍食品など加工食品が 2077 品目を占め、全食品分野で最も多い結果となっています。加工食品が単月で2000品目を超えたのは、2023年4月以来、1年ぶりだそうです。

そして、今後の見通しついては、天候不順による原材料高や円安を理由とした値上げが本格化する可能性があり、さらには賃上げ由来の値上げも予想されるようです。

食品だけでなく家庭で消費するモノやサービスの値動きをより広く見るものとして「消費者物価指数」がありますが、4月19日に総務省が発表した消費者物価指数によれば価格変動の大きい生鮮食品を除いて前の年より2.8%上昇しているそうです。

2020年を100とした指数の動きを見てみるとの多少のジグザグはありますが、基本的には右肩上がりとなっているのがわかります。

緩やかな値上がりが今後も続く!?

生活経済ジャーナリスト・和泉昭子さん:
物価上昇の要因は色々あります。賃上げや物流の2024年問題が今年の物価に影響することはある程度想定できていましたが、為替がこれほど円安になることは予想できなかったですね。円安によって輸入食材が値上がりするだけでなく、石油も高く購入することになりますから電気、ガスなどの値上がりも心配です。

全体的なコスト高なので今後は急激な値上がりというよりは緩やかな値上がりが長く続くと思います。

家計を守るため資産運用をするなど発想を攻めに転ずる必要があると感じますね。例えば株式投資をして株主優待の食材をもらうとか、ふるさと納税をするとか様々な工夫の組み合わせが必要です。それと空腹時には買い物に行かないようにしましょう

生活の中で実践できる節約の工夫が求められていると言えそうです。

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