新型コロナの無料検査事業をめぐり、大阪府から補助金およそ23億円をだまし取った罪に問われている元市議の男に、大阪地方裁判所は、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

■裁判前「検査キットの販売代金4400万円 支払いないまま飛んでしまう」と説明

岐阜県瑞穂市の元市議会議員で、医薬品卸会社「新日本薬品」の元社長・松野貴志被告(49)はおととし、大阪府が実施した新型コロナの無料検査事業で、検査場を運営していた別の被告らと共謀し、大阪府に虚偽の申請をして補助金およそ23億円をだまし取った罪に問われています。

これまでの裁判で松野被告は、「だましてしまったことは間違いありません」と起訴内容を認めていました。

松野被告は、裁判を前に関西テレビの取材に応じていて、無料検査場を運営する会社に事前に渡していた検査キットの販売代金が支払われない中、犯行を持ちかけられたと説明していました。

【松野貴志被告(ことし5月)】「(販売代金が)4400万円ですかね、当時。それがいつ支払ってもらえるか分からない。これで(費用の水増しを)断って帰ってしまうと、ただ支払いがないまま(経営者が)飛んでしまうな(行方をくらます)、と」

検察側「市議として公金を詐取するのは言語道断」と懲役3年求刑

一方、検察側は裁判で、「松野被告が関与しないと成立しない犯罪で、市議として公金を詐取するのは言語道断」などと指摘し、松野被告に対し懲役3年を求刑していました。

■大阪地裁「市議でありながら公金詐取 無視できない」懲役3年・執行猶予5年

20日の裁判で大阪地方裁判所(渡部市郎裁判長)は、「だましとった公金は高額で結果は重大。また、犯行は組織的かつ巧妙で、市議会議員という立場でありながら公金の詐取に関与したことは無視できない」と指摘しました。

その上で「検査場を運営していた会社が犯行を立案し、主導的な立場であった。一度は持ち掛けられた犯行の計画に加担したが、捜査に協力するなどし、主導的な立場ではなかった」などとして懲役3年・執行猶予5年の判決を言い渡しました。

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