静岡・牧之原市の認定こども園で2022年9月、当時3歳だった河本千奈ちゃんが、送迎バスに置き去りにされ、重度の熱中症で死亡した事件。
23日、業務上過失致死の罪に問われている当時の園長らの初公判が開かれた。
両親から提供された動画には、妹にミルクをあげる千奈ちゃんの様子が映っていた。
千奈ちゃんは、事件当日、車内温度は40度を超えるバスに5時間以上も放置された。
初公判を前にした4月19日。
現場となった園の駐車場では、バスを運転していた当時の園長・増田立義被告(74)が手を合わせていた。
当時の園長・増田立義被告「(一言だけお願いできますでしょうか?)弁護士に聞いてください」
千奈ちゃんの父親は、2023年の取材に無念の思いを「助けられなくてごめんなさい」と口にした。
千奈ちゃんの事件を受け、全国の通園バスに置き去りを防ぐための安全装置の設置を義務づけるなど、国も動いた。
千奈ちゃんの両親は、今回の裁判に被害者参加制度を利用して参加。
その両親の前で、当時の園長でバスを運転していた増田被告と当時クラス担任だった西原被告は、ともに起訴内容を全面的に認めた。
しかし、証言台に立った際、西原被告が遺族に一礼した一方、増田被告が頭を下げたのは裁判官に対してのみだった。
検察側は、23日の冒頭陳述で、送迎バスのドライブレコーダーには千奈ちゃんが発した声が記録されていたにもかかわらず、増田被告が存在に気づかずバスを移動させた点を指摘した。
その増田被告は、被告人質問で、「千奈ちゃんを失わせてしまったことを両親におわび申し上げたい」と謝罪した。
さらに、千奈ちゃんの父親から、「娘が亡くなったときの気持ちを考えたことがあるのか」と問われると、「苦しい思いをしていたと思う」と答えた。
幼い命が奪われた痛ましい事件の裁判は、次回、5月15日に結審する見通し。
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