9月18日午前9時すぎ、裁判所に入ったのは福島県石川町の前町長・塩田金次郎被告(76)。町発注の入札を巡る官製談合事件と増収賄事件の裁判が始まり、現職の町長だった塩田被告が不正に手を染めた状況などが明らかになった。

「間違いございません」石川町の前町長・塩田金次郎被告は、はっきりとした口調で起訴内容を認めた。
事件が発覚したのは、2024年4月。石川町が発注した道路工事の入札で、塩田被告が秘密事項の設計金額を土木会社で当時入札を担当していた添田被告・関根被告に教え、落札させたとして起訴された。
その後、認定こども園の工事の入札を巡る官製談合事件。さらに約4年間に渡り、情報を教える見返りとして合わせて9回、添田被告と関根被告から42万円相当の缶ビールなどを受け取ったとして起訴された。

<官製談合の経緯と収賄の動機>
検察は、塩田被告が県議会議員の時から土木会社の添田被告と親族などを通して関わりがあったことを指摘。5年前初めて、添田被告から橋梁工事の入札で設計額を教えてほしいと依頼を受けたことを明らかにした。
「恩義があり、何度もお願いされ、断り切れなかった」
その後、入札情報のやり取りが繰り返される中で、後援会などの金銭的負担を減らすために、塩田被告自身が見返りとして受け取る品物や個数を指定したと述べた。

検察は「町民の信頼を逆手にとった犯行で常習性も高い」と厳しく指摘。塩田被告に懲役2年6ヵ月を求刑した。

一方、弁護側は「私利私欲のためではなく、恩義を感じ教え、十分に社会的な制裁を受けている」などとして執行猶予付きの判決を求めた。

<担当記者解説>
◇法廷での塩田被告の様子は?
入廷した際は深く一礼するなど終始落ち着いている様子だった。ただ、被告人質問では検察側からの指摘に対し言葉に詰まる場面も見受けられた。また最後は町民に対して「大変申しわけなく思っています。」という謝罪の言葉も口にしていた。

◇今回の事件の内容や経緯は?
石川町の前の町長である塩田被告が問われているのが、町発注工事を巡る2件の官製談合事件、そして業者との間で常態化していたともいえる贈収賄事件だ。
一連の事件には登場人物が3人いる。当時現職の町長だった塩田被告、そして地元の土木会社・志賀建設で役員だった添田保雄被告と顧問だった関根徳夫被告。
塩田被告が入札の秘密事項を教えて落札させた、そして情報提供の見返りとして缶ビールなどを贈り、受け取っていたとされている。

◇塩田被告が情報提供をした動機は?
被告人質問で塩田被告はこう述べている。
「恩義があり、断り切れなかった」塩田被告が県議会議員だった時に、添田被告の親族が地区の後援会長を務めるなど深い関係性があったと検察側は指摘している。
検察が示している塩田被告が受け取った物品と場所。合わせて9回情報提供の見返りに瓶ビールや缶ビールを受け取り、場所や品物を指定していたとされている。

◇賄賂の認識はなかったのか?
裁判の中で塩田被告は「イベントなどの協賛として貰っていた認識で大丈夫だと思った。勉強不足だった」として、あくまで金儲けのためではないと主張した。

この贈収賄事件はもちろん、一連の官製談合事件などを受けて、石川町では町政に大きな影響を与えた。

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