コミュニティーFM「FMわたらせ」(埼玉県加須市)が8月で開局から1年を迎えた。放送を裏方で支えるのが、元警察官という経歴を持つ関根秀樹さん(46)。営業担当として各地を飛び回る関根さんにラジオ局員に転身した理由や、やりがいなどを聞いた。【安達恒太郎】
――警察官としての経歴は。
幼いころから警察官に憧れており、大学在学中に採用試験を受けたが失敗。諦めきれずにスーパーマーケットで働きながら試験勉強を続けました。24歳の時に県警の採用試験に合格しました。採用後、地域課や刑事課(知能犯係)などで勤務しました。ブラジル留学の経験があったので、ポルトガル語の通訳官も務めました。
13年間勤務しましたが、家庭の事情や持病の影響で辞めることになりました。
――その後、ラジオ局で働くきっかけは。
退職後は葬祭会社や商社で働いていました。そんな中、FMわたらせの求人広告を見つけました。中学生から大のラジオ好きで、当時好きだったアイドルのラジオ番組を聴いたり、好きな番組に投稿したりしていました。ラジオ局のある加須市に隣接する茨城県古河市の出身ということも応募を後押しすることになりました。
今年3月から営業担当として企業をまわって、スポンサー集めやイベント運営などを担当しています。
――ラジオの魅力とは。
ラジオは声しか聞こえない分、パーソナリティーがどんな表情で話しているかなどを受け手側で想像することができます。また、私たちのようなコミュニティーFMの場合は、特にリスナーとの距離感が近いことも魅力の一つです。
――警察官としての経験は生かされていますか。
県警時代の経験から各交番が「ミニ広報誌」を作っていることを知っていました。広報誌には地域で発生した空き巣や特殊詐欺などの犯罪情報などが載っています。交番を回って広報誌を集め、その内容を放送に反映させました。
こうした地域ごとの細かな情報を発信することが、コミュニティーラジオに求められている役割だと思っています。
――心がけていることは。
私は営業担当のため、普段接するのはスポンサーなどの企業がメインですが、スポンサーは同時にリスナーでもあります。局員も限られているので、営業だけやっていればいいという感覚はありません。営業の現場で聞いてきた住民の声を番組製作に反映させることが大事だと思っています。
――今後の目標は。
私はラジオが好きで入社したので、これから2年、3年と放送を続けていきたいです。そのために、ラジオ局の認知度向上▽放送の内容充実▽スポンサー契約の獲得――という3点を底上げしていくことが課題だと思っています。
関根秀樹(せきね・ひでき)氏
1978年生まれ。茨城県古河市出身。埼玉県警、商社、葬祭会社などを経て今年3月、FMわたらせを運営する「わたらせコミュニティメディア」に入社。特技はブラジル留学で習得したポルトガル語。趣味は筋トレ。
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