2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)で、10月から販売する紙チケットについて、日本国際博覧会協会は13日の理事会で協議したが、来場予約なしで使える条件で折り合わず、十倉雅和会長に一任となった。会場へのペット同伴については多数決で実施見送りを正式決定した。
協会は23年11月から来場予約を前提に電子チケットを販売してきた。しかし、チケット販売が伸び悩み、24年6月の理事会で、紙チケットを全国のコンビニなどで販売し、予約なしでの入場も可能にすると決めた。
ただ、予約なしで来場する人数や日時を予測するのは難しく、交通機関や入場ゲートが混雑すれば、安全が確保できないとの懸念も生じた。そこで、協会は紙チケットについて、特に混雑が予想される▽午前11時まで▽ゴールデンウイーク(GW)▽6月以降の土日祝日▽お盆を含む8月9日から閉幕まで――は来場予約を必要とするルールを提案した。
一方、大阪府と大阪市は、来場者が紙チケットで午前11時までに入場する場合について来場予約を求める点では協会と一致。ただ、利便性を高めて、チケットの販売促進につなげる狙いから、予約状況によって利用不可の日を設定するとの案を提示した。
今月に入って、協会副会長の吉村洋文・大阪府知事は、来場予約を必要とする期間をGW▽お盆を含む8月9~17日▽閉幕前1カ月(9月14日~10月13日)とする譲歩案を明らかにした。
譲歩案により、協会案と府市案の実質的な違いは、土日祝日の一部と、8月18日~9月13日に予約を必要とするかどうかに絞られたが、13日の理事会では合意に至らなかった。
十倉会長は理事会後の記者会見で「大差がないので会長一任となった。今後、具体的に詰めたい」と説明。記者から協会内に亀裂が生じているように見えると指摘されると、「世間でそう見られているのは承知しているが、万博成功では一致している。建設的なやり取りをしている」と打ち消した。
一方、実現すれば万博では初めてだった会場へのペット同伴は見送った。愛猫家の松井一郎・前大阪市長が提案し、協会は同伴可能な日を5月の平日10日間に限定して、小型犬のみ1日100匹以内とする案をまとめた。
しかし、24年6月の理事会で、「ペットのためになるのか」「(規模が)限定的で中途半端」と異論が噴出、結論を先送りしていた。協会によると、13日の理事会で異例の採決を行った結果、見送り賛成が多数を占めたという。
吉村知事は13日、報道陣に「ペット同伴を認めないのは、少し残念に思う。限定的でも同伴を認める万博をやって、次につながればいいと思っていた」などとコメントした。【長沼辰哉、藤河匠】
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