名古屋高裁が入る名古屋高地裁合同庁舎

 無罪判決が確定した男性が国に対し、捜査時に採取された指紋やDNA型などを警察庁のデータベースから抹消すべきだとした名古屋高裁判決について、原告の奥田恭正さん(68)=名古屋市=は13日、同市内で記者会見を開き、上告しないことを明らかにした。国も12日に上告しない方針を示しており、高裁判決が確定する見通し。

 奥田さんは2016年にマンション建設の反対運動中に現場監督に暴行したとして逮捕、起訴された。その後、防犯カメラの映像などから無罪が言い渡され、確定した。

 今年8月30日の名古屋高裁判決は、無罪が確定していることなどから、DNA型などの抹消を命じた1審判決を支持。一方、奥田さんが求めていた国や県の賠償責任については1審同様に棄却した。

 警察庁の露木康浩長官は12日の定例記者会見で「抹消するという結論について争う理由がないと判断した」と述べ、上告しない方針を明らかにしていた。【道下寛子】

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