北海道札幌市ススキノで男性が殺害され、首を切断された事件で、殺人などの罪で起訴された女の公判前整理手続きが始まった。

事件の概要

2023年7月、札幌市ススキノのホテルで頭部のない男性の遺体が発見され、一家3人が逮捕された。

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このうち田村瑠奈被告(30)は、男性を折りたたみナイフで複数回刺し、殺害した上でのこぎりを使って首を切断したとして殺人などの罪で起訴されている。

公判前整理手続きの開始

衝撃の逮捕から約1年1か月。

9月5日午後1時から公判前整理手続きが行われた。

公判前整理手続きは主に裁判員裁判の時に開かれるもので、裁判官、検察官、弁護士の3者が裁判の争点を整理するための手続きだ。

これまでに3回開かれた母親・浩子被告の裁判を通じ、瑠奈被告の人物像が次第に明らかになってきた。

瑠奈被告の生い立ちと異常行動

1994年に父・修被告と母・浩子被告の間に生まれた瑠奈被告。

中学に入り不登校になり、2年生のころから精神科を受診。

自宅にひきこもるようになった18歳ごろから、ある変化が。

“ゾンビ妄想”と家族関係の異常性

「田村瑠奈の体には5~6人の魂が入って、体を借りているだけ」(瑠奈被告)

瑠奈被告は複数の人格が入り込む「ゾンビ妄想」に取りつかれ、自分のことを「ルルー」や「シンシア」などと名乗るように。

修被告や浩子被告もその妄想に合わせ「お嬢さん」と呼び名を変えた。

家族関係の歪みと異常性の増加

可能な限り瑠奈被告の希望をかなえようとしたが。

「あんたもそのくそアマもよ、どっちもよ。熟女系の風俗にでも売り飛ばせばいい。とっとと売れや、そのくそアマをよ」(瑠奈被告)

「瑠奈ファースト」と言われる生活は奴隷のように扱われるなど、いびつな家族関係を生み出した。

家族関係の歪みと異常性の増加

「注意できなくなった理由は?」(弁護士)

「自傷やオーバードーズ(薬の過剰摂取)を繰り返すようになり『早く迎えが来てほしい』と言うようになった。追い詰めないことが望ましいと判断した」(修被告、2回目の公判より)

さらに事件の10日前、瑠奈被告の異常性を現す出来事が、前回の裁判で明かされた。

「瑠奈被告は頸部を切断するシーンのある映画をレンタルした」(検察官、3回目の公判より)

中学時代から人体に興味があり、「怪談バー」で首や目玉などを模したカクテルを好んでいたと言う話も。

瑠奈被告の猟奇的な一面が明らかになっていた。

責任能力が争点に

一方で、6年ほど前、通院先からそううつ病と診断されていたという。

裁判ではどのようなことが争点になるのだろうか。

「今回の事件の争点としては田村瑠奈被告の責任能力の有無が、一番になると考えられる。捜査段階でいったん精神鑑定はしているが、弁護人としては鑑定結果に納得できないという考えだろうから、改めて弁護人が鑑定の請求をして、裁判所も採用するのではないか」(元検事 磯部真士 弁護士)

一般的に公判前整理手続きは1年以上かかることもあり、加えて追加の精神鑑定が認められれば、さらに裁判に入るまで時間がかかることが予想される。

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