上官のパワーハラスメントを匿名通報したところ情報を漏らされ、不利益を被ったとして、北海道内の陸上自衛隊に所属する50代の男性自衛官が国に220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)であった。国側は男性の上官が「通報というテロ行為をする者は許すわけにはいかない」となど発言した事実を認める一方、賠償額については争う姿勢を示した。
訴状によると男性は東千歳駐屯地内の部隊に所属していた2021年、上官のパワハラを匿名で陸上幕僚監部の窓口に通報したが、担当者が通報文を上官本人らに漏えい。男性は別の上官から遠方への異動を何度もほのめかされるなど精神的苦痛を受けたとしている。
男性は意見陳述で「職場環境改善のために通報した。すると『必ず通報者を特定して処罰する』などと言われ、報復を受けた。パワハラの調査も十分にされず、なかったことにされた」と主張した。
国側は答弁書で、北部方面本部の上官らが自白を強要したことなどは認めたが、賠償については「額の根拠が不明」として請求棄却を求めた。【後藤佳怜】
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