北海道岩見沢市の31戸の農家でつくる生産組合・田藁(たわら)屋は白老町で和牛を生産する敷島ファーム(本社・栃木県)とのタッグで、環境負荷などを考慮した循環型農業に取り組んでいる。新たな「耕畜連携」の動きとして、関係者も注目する。
両者の連携のきっかけは、田藁屋の浜本壮男会長らが、輪作で有益な作物にすることなどを目指し、稲わらを発酵させた飼料の「稲ホールクロップサイレージ(稲WCS)」の生産を計画したことだった。
長期的な事業として取引先を模索していたところ、輸入飼料の高騰などから国内生産の稲WCSに関心を寄せていた敷島ファームと22年に出合った。試験栽培を経て、23年に田藁屋を設立。その年に約110ヘクタール、翌24年に約200ヘクタールと作付面積を拡大した。
田藁屋の稲WCSを敷島ファームが買い、牛のエサにする。そして、牛から排出されたふんを堆肥(たいひ)にして田藁屋が買い、農作物の栽培に活用する。通常の牛ふん堆肥は水分が多く、効率的な輸送が課題だったが、敷島ファームが粒状のペレットに加工するシステムを導入し、解決した。
田藁屋と敷島ファームのメンバーは8月29日、岩見沢市内の農場で稲WCSをエサに育った牛肉や牛が排出したペレット堆肥で育てたカボチャなどの試食会を行った。道空知総合振興局など行政関係者も視察し、「期待できる取り組みだ」などと評価した。
浜本会長は「過去最高のカボチャができた。資源循環で新しい価値を生みたい」と声を弾ませた。また、敷島ファームの高田正樹社長は「肉にしっかりと味がある。今後はプレミアを付けた販売も考えている。取り組みをいいものにしていきたい」と話していた。【谷口拓未】
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