兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は5日午前、告発者の元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が公益通報をしたにもかかわらず懲戒処分をした経緯について、原田剛治・県産業労働部長を証人尋問した。「文書の出所を探そうと指示したのは知事か」との問いに、原田部長は「トータルとしてはそうだ」と証言した。
原田部長は、知事らが告発文を把握した翌日の3月21日、知事や片山安孝・元副知事(7月に辞職)らとの協議の場があったことを明らかにした。この場で知事から「文書に書かれた事実関係を調べよう」と指示があり、可能性のある職員の公用メールの調査などを始めたという。
一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実でなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。
元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。
知事は8月30日にあった百条委の証人尋問で告発文について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。元局長を処分したことは「適切だと思っている」と正当性を主張した。
一方、百条委では県職員が「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言していたことが明らかになっている。【幸長由子、藤河匠】
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