文化学園大の加藤薫教授=本人提供

 岡山県内のPTAでつくる県PTA連合会(県P連、岡山市)が2024年度末で解散することを決めた。県教育委員会によると、都道府県レベルの連合会が解散するのは全国で初めてという。それでも、PTAに詳しい専門家は「解散しても問題はない」と話す。どういうことなのか。

 県P連の事務局は、解散の理由として役員選出や行事への出席などの負担が重く、08年度に約18万人いた会員数が24年度に約9800人に減少したことを挙げた。

 こうした状況に、文化学園大の加藤薫教授は「解散はこれまでの動きから自然な流れです」と話す。

 PTAは、日本PTA全国協議会(日P)をトップに都道府県や政令指定都市のPTA組織、市区町村、各学校と4段階の構造になっている。加藤さんによると、すでに市区町村や学校の単位でのPTAの解散の動きはあったという。

 会員数が減った要因については、どう見ているのか。

 「PTA活動に対して、保護者は意義を感じられず、もやもやした気持ちを抱えていたのではないでしょうか」

 さらに、10年ほど前から「PTAの入退会は任意」ということが広まったことも会員の減少を後押ししたと語る。

 「その中で、岡山の県P連は日Pから年内に退会する意向も示しています。23年には東京都小学校PTA協議会が日Pから退会しているなど、PTAを巡って議論は始まっています」

 加藤さんは、PTAの解散や日Pからの退会による影響も、保護者にとってそれほど大きくないのではと見ている。

 「『PTAがなければ上部組織に要望を上げられない』という意見も出ていますが、各学校の校長が教育委員会に要望することもできます」

 そもそもPTAはなぜあるのか。加藤さんは次のように説明する。

 「戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の推進によって広まりました。子どもだけでなく、親への民主主義の浸透や、混乱期にあった時代に保護者や地域と連携した学校環境の整備という目的があったんです」

 「当時の文部省が各都道府県に通達を出し、一気に全国へ広まりました。かつては研修会や討論会を開くなどして、多少はPTAの意義がありましたが、社会の流れでPTAの存在意義はなくなってきています」

 このままの状況なら、全国的にPTA組織の解散が相次ぐ可能性もある。

 「重要なのは保護者同士や保護者と学校が連携をとれる環境をしっかり担保することです」

 その上で、加藤さんはこう提言する。

 「PTAを負担に思っている保護者は、PTAが絡んだ懇談会などでは、関わりたくないために参加をためらってしまいがち。PTAのような組織が必要であれば、少人数でも保護者が自由に参加できるグループで活動をすればいいのではないでしょうか」【大坪菜々美】

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