「一瞬で3人の命がなくなったことを受け入れたくない」――。伊勢崎市の国道17号で5月、トラックが乗用車2台に衝突し家族3人を含む男女5人が死傷した事故。亡くなった塚越湊斗ちゃん(当時2歳)=前橋市樋越町=の遺族は2日、毎日新聞などの取材に、苦しい思いを明かした。【加藤栄】
事故では湊斗ちゃんのほか、父親の寛人さん(当時26歳)、祖父で渋川市赤城町宮田の会社員、正宏さん(同53歳)が亡くなった。取材に応じたのは、寛人さんの妻で湊斗ちゃんの母親▽寛人さんの兄(26)▽正宏さんの妻(53)▽正宏さんの母(78)――の4人。
「寛人は子どもが大好きで頼りがいもあって。湊斗は優しくて毎日『大好き』と言ってくれる子でした」。湊斗ちゃんの母親は涙ながらに「まだ気持ちの整理がつかず、受け入れられる状況じゃない。帰ってくる気がしてしまう」と語った。
寛人さんの兄は、事故の約3週間前に寛人さんと湊斗ちゃんの3人で初めて出かけたという。「またどこかにいこうと話していたのに、それがもうないと思うと耐えられない」と目を伏せた。
正宏さんの妻は「午後7~8時になって夫がそろそろ帰ってくる時間だと思っても、車のライトが見えない。その時間が一番つらい」と声を震わせた。
正宏さんの母は、亡くなる約1週間前に寛人さんと湊斗ちゃんが家に来たのが最後になったといい、「家の中を駆けずり回っていた姿が忘れられない。破ってしまった障子もそのままにしている」とやるせない思いを述べた。
事故を巡っては8月20日、吉岡町下野田のトラック運転手、鈴木吾郎容疑者(69)が自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で逮捕された。湊斗ちゃんの母親は容疑者に対して、「3人を殺してしまった自覚はあるのかと聞きたい」と怒りをあらわにした。
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