1日に温帯低気圧に変わった台風10号は、東海地方に大雨をもたらし、土砂災害や河川の氾濫など各地に大きな爪痕を残した。岐阜県の被災地では2日も住民が浸水した家屋の清掃や後片付けに追われた。観光地では宿泊客のキャンセルも相次いだ。【稲垣洋介、加藤沙波、原諒馬】
大垣市で内水氾濫発生か
台風10号の接近に伴い、岐阜県池田町では8月31日に池田町を流れる杭瀬川が氾濫。午前11時までの1時間雨量は64ミリに達した。また、下流の大垣市赤坂東地区では1時間雨量が31日午前10時までに51ミリ、同11時までに49ミリを観測。杭瀬川の氾濫の危険性が高まったとして、同11時25分に警戒レベルが最も高い「緊急安全確保」が出された。
赤坂東地区では、短時間での大雨により下水道の排水能力を超えて水があふれる「内水氾濫」が発生したとみられる。同地区では2日も、住民らが床下の泥出し作業や浸水した家具の運び出しなどに追われた。玄関の泥をブラシで掃き出していた50代の女性は「泥はなくなったが、臭いが消えない」と汗びっしょりで嘆いた。
観光地も打撃
岐阜県は国内有数の観光地である高山市や下呂市を抱える。書き入れ時の夏休みシーズンに、台風10号は容赦なく襲いかかった。
飛驒高山旅館ホテル協同組合の担当者は「通常はキャンセルが2~3日間に集中するが、今回はゆっくりした台風だったため、1週間にわたってキャンセルが相次いだ」と説明。下呂温泉旅館協同組合も「台風が長引いた分、キャンセルは増えた。2日までの1週間で1000件を超すのではないか」と声を落とした。
愛知、三重で死者3人、負傷者4人
愛知県の2日午後3時現在のまとめでは、台風10号の影響で、蒲郡市で土砂崩れに住宅が巻き込まれ、家族5人のうち3人が死亡、2人が重軽傷を負ったほか、いずれも新城市で一部損壊3棟、床上浸水1棟、床下浸水20棟の被害が確認された。農林水産被害は、新城市、豊橋市、蒲郡市で計1億2250万円(速報値)に上る。
一方、蒲郡市に出ていた避難指示は同日午後に解除され、最大で県内15市町村に設置された災害対策本部はすべて廃止された。
岐阜県の2日午後4時現在の発表によると、大垣市の住宅で床上浸水13棟、床下浸水85棟が確認されたほか、養老町を流れる木曽川水系の小畑川で護岸崩壊があった。
三重県北中部では31日、激しい雨が同じ場所で降り続ける「線状降水帯」が発生。いずれも午後2時すぎ、松阪市の1万6522世帯、大台町の59世帯に、警戒レベルの最も高い「緊急安全確保」が出された。また、県内で8月29、30日、風雨の影響による転倒などで計2人が軽傷を負った。
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