コメの品不足が全国的に深刻な問題となる中、新米の収穫時期を迎えます。
コメの価格や品不足は、今後、どうなるのでしょうか?

全国的に起きているコメの値段の高騰。
県内のコメの販売価格も上昇を続けています。

【生鮮スーパーたかもり・伊木英人副社長】
「今月に入ってまた大幅に上がってきて、去年のこの時期で比べると店の売価では1.4倍、4割増しくらいの値段になっている」

「令和の米騒動」とも言われる異常事態。
農林水産省の発表では6月末現在、国内における「コメの民間在庫量」は、前の年の同じ時期に比べ、41万トン少ない、156万トン。
統計史上、過去最少を記録しました。
需要に対する在庫の比率はこの10年で最も低い22.2%。
取引価格の動向をみるとコロナ禍の影響で下がった価格がコロナ禍前に戻りつつあることが分かります。

【生鮮スーパーたかもり・伊木英人副社長】
「他の食材はこの2~3年で倍以上3倍くらいになっている食材もたくさんあるので、それが今までコメが上がっていなかったのが不思議なくらいだった。それが(他の食材に)追いついてきたと感じています」

在庫の減少と価格の高騰。
「令和のコメ騒動」の解決の一手として注目されるのが、今から、収穫期を迎える新米です。
気象庁のデータでは、過去4週間の平均気温は、全国的に平年より2度近く高いのが分かります。
暑さによる収穫量の変化はあるのでしょうか?

東広島市にある広島県農業技術センター。
ここでは、全国から取り寄せたコメを栽培し、県内の環境にあった品種の発見や、品種改良なども行っています。

【広島県農業技術センター・勝場善之助研究員】
「『にじのきらめき』というのが今広島県で少し増えている品種です」

Q:どういう種類ですか?
「高温登熱耐性(発育期の高温に耐える能力)をもつ品種です」

Q:暑さに強い?
「そうです」

猛暑は、コメにどのような影響を与えるのでしょうか?

【広島県農業技術センター・勝場善之助研究員】
「1番ひどいには収穫量が下がってくる。コメが白く濁るとかコメの1部が白くなるという品質の低下、コメがやせてしまうことがあり、それは食味にも直結してくる」

これから、収穫期を迎える新米。
県産のコメの出来はどうなのでしょうか?

【広島県農業技術センター・勝場善之助研究員】
「去年も暑かったのですが、広島県内でみると収量性も平年並みに取れている。1等米の比率もそれほど悪くなっていない。この気温で収穫量や品質が急に悪くなるかというと、おそらくそれほど影響はないのではないかと思っています。今年も平年並みの収穫量があると思っています」

コメの価格は、県内の生産量だけで決まるわけではありません。コメの値段は、国内のコメ事情が大きく左右します。

【広島県農業技術センター・勝場善之助研究員】
「まだ広島県では収穫量が落ちてはないが、九州や非常に暑い地域になると収穫量が以前のように取れていない状況が出てきています」

さらに、新米の登場がすぐにコメの価格の低下には繋がらないという見方もあります。

【生鮮スーパーたかもり・伊木英人副社長】
「新米が出たらまた今の値段よりさらに新米は1.4倍くらいになるとみています。去年のこの時期からいくとほぼ2倍くらいの値段になるのではないかとみています」

10年に1度の暑さ。
これまでの当り前が、当たり前では、なくなりつつある今。
私たちの食を守る農業は、転換期を迎えています。

【広島県農業技術センター・勝場善之助研究員】
「やはり今気温がどんどん上がってきているので、高温登熱耐性(発育期の高温に耐える能力)をもつことが必須になる」

Q:暑さに強い?
「そうです。収穫量が低下する前に品種を変えていかないといけないと思っています」

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