「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家を殺害した罪に問われている元妻が、別の男性から現金をだまし取った罪に問われている裁判で、和歌山地裁は2日午前、懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。
須藤早貴被告(28)は、2015年から3回にわたり、男性(当時61歳)から現金あわせて約2980万円をだまし取った罪に問われていて、初公判で起訴内容を否認していた。
須藤被告はこれまでの裁判で、男性にうそをついていたことを認めた上で、被害者もうそと分かって金を払っていたと主張。そのうえで金を受け取るたびに体を触られたり、キスをされてたりしていたと訴え、「私が詐欺師なら被害者は性犯罪者だと思う」と述べた。
一方、検察側は「被害金額が大きく、信じていた人に裏切られる男性の精神的負担も重大で様々なウソでだました巧妙な犯行」となどと主張し、懲役4年6カ月を求刑。弁護側は、「性的な接触の対価として被告の嘘に乗っかって高額の金を渡していた、犯行当時、被告は19歳で、罪に問うのではなく守るのが社会の責任ではないか」などと主張した。
須藤被告は裁判官に「最後に何か言うことはありますか」と尋ねられると、「被害者男性は明らかに一部ウソをついていました。そこを見落とすなく裁判官には判決を下していただきたいと思います」と話していた。
須藤被告をめぐっては、この事件の2年後に和歌山県田辺市で起きた殺人事件でも逮捕、起訴されている。死亡したのは被告の元夫で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん(当時77)。死因は急性覚醒剤中毒だった。この事件の裁判員裁判が、9月12日に始まることが決まっている。
須藤被告は野崎さんとは別の男性から金をだまし取った詐欺事件の当時19歳だったが、社会的関心の高い殺人事件の被告人として、すでに実名報道されていることなどから、実名で報道する。
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