逆走車による事故が全国で相次ぐ中、お盆のUターンで込み合う北海道の高速道路「札樽道」でも8月16日、軽乗用車が約15キロも逆走するという事案が発生しました。


 幸い事故は起きず、ケガ人もいませんでしたが、運転していた80代男性は調べに対し「わからない」と話すなど、逆走を巡る深刻な課題も浮き彫りとなりました。

 NEXCO東日本が公開した画像からは、軽乗用車は高速道路への合流段階で、逆走を始めていたことがわかりました。

 軽乗用車は小樽市の札樽道の銭函インターチェンジから、小樽方向に向かう合流車線にいったん入ったあと、なぜか急に右に転回。札幌方向に向けて逆走していました。

 前方から次々と車が向かってくるにも関わらず、男性は約15キロも平然と逆走。札幌市の札幌北インターチェンジ付近でようやく道警の高速隊によって確保されました。


 その瞬間を捉えた画像からは、対応にあたる隊員もいつ他の車が突っ込んでくるかわからない危険な状況に置かれていたことがうかがえます。

 運転していた80代の男性は、逆走行為を指摘されましたが「わからない」などと話したということです。


 一歩間違えば、多くの命を奪いかねない危険な高速道路の逆走。

 折しも東北道で逆走車による悲惨な巻き添え死亡事故が起きた直後とあって、SNS上などでは高速での逆走は「一発免停」など ”厳罰” に処すべきとの声も上がりました。

 しかし今回の札樽道での逆走の場合、事故やケガも発生しなかったことなどから、80代男性に対する行政処分などは一切行われませんでした。

 警察などによりますと、道交法で逆走が処罰対象となるのは、あくまでも「故意」に逆走した場合のみで、「うっかり」などの過失や「認知症」などの場合は、処分対象にはならないということです。

 80代男性は警察から医師の診断を受けるよう勧められ、診察を受ける意向を示したほか、現在は車の運転を控え、免許の返納も検討しているということです。


 自分だけでなく、他人の命をも奪いかねない、危険な高速道路の逆走。

 警察やNEXCO東日本は8月28日、札樽道で高速道路の利用者に対し逆走防止の呼びかけを行いました。

 あわせて逆走防止の標識や電光掲示板の増設なども進めています。


 しかし、今回のケースのように、自分が逆走していることさえ認知できないドライバーが今後も増えることが予想されます。

 「逆走ドライバーの約7割は65歳以上」といわれるなか、悲惨な事故を防ぐ、さらなる手だてを求める声は日増しに高まっています。

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