台風10号、26日現在の最新情報を片平敦気象予報士が解説します。

【片平敦 気象予報士】「まず台風の予想進路です。台風は日本の南の海上にあります。図で赤く表示された風速25メートル以上の暴風域を伴っていて、緩やかに発達を続けています。速度が遅くて、進路は『西北西 時速20キロ』とあまり速度が上がらない状況で、西の方へと進んでいる形です」

■週後半にかけて日本列島を通過して行く予想

【片平敦 気象予報士】「この後の進路を見ますと、やはり速度があまり上がりません。台風の中心がこの中のどこかに進むという予想を表す『予報円』は、28日(水)時点でも、まだ九州の南にあるような状況です」

「その後、進路を北寄り、東寄りに変えてくる見通しです。西日本から東日本、そして北日本にかけて29日(木)~30日(金)~31日(土)、週の後半にかけて日本列島を通過して行く予想になっているんです」

「一番外側(西側)のコースを通ると、長崎県の西を通って日本海へ行くパターンもあります。一番内側(東側)のコースを通ると、西日本の南の方を通っていく可能性もあります。いずれにせよ近畿地方に一番影響が出そうなのは、30日(金)ごろと、当初の予想よりだいぶ遅くなってきました」

■「高気圧の張り出し」当初予想より大きく台風の進路が西寄りに

先週はもっとまっすぐ近畿地方へ来る予想でしたが、なぜ予想が変わったのでしょうか?

【片平敦気象予報士】「先週と今週で予報が変わってきたのは、『高気圧の張り出し具合』なんです。高気圧というのは、台風に対して壁になる形なんですが、実は現在、台風10号の北側に夏の高気圧がグーッと張り出す形になって、台風が北へ進むことを阻むような予想になってきたんです。まっすぐ北へ進めないので、台風が西へ西へと進んでいる形です。先週末時点ではここまで高気圧が張り出さない予想だったのですが、これが変わってきたので西へ大回りするようになり、影響もその分遅くなってきた状況です」

■台風の影響が長引くほど雨も長く続く恐れ

台風の勢力が弱まるということは考えられますか?

【片平敦気象予報士】「近畿地方に近づくタイミングで、海からダイレクトにやってくる形だと、強い風あるいは高い波が非常に心配です。そうじゃない場合、西回りで台風が若干弱まる可能性もあります」

「ただ近畿が大丈夫かと言うとそうではありません。雨や風の予想を見ます。コンピューターの予想なのでこのとうりになるわけではない点に注意してください。ただ台風から離れてる紀伊半島の南側でずっと雨が続いているのが分かります。湿った南風がずっと続くということで、台風の影響が長引けば長引くほど、雨も長く続いてしまう心配が出てきているんです」

「今回の台風と似ているわけではないのですが、長いこと雨が続いて被害が出た台風として、2011年の台風12号、紀伊半島の大水害をもたらした台風なんですが、この台風は西日本を丸1日~2日ぐらいかけて通過して行く、とても遅い台風でした」

「強い台風や大きい台風も怖いのですが、遅い台風はその分雨が長く続いてしまうことで、雨量が多くなります。土砂災害や川の増水が心配になってきます。今回の台風が同じようになるとは限りませんが、このように雨が長く続くと非常に心配だということも覚えておいてください。もし台風が直撃すれば、もちろん風が強まったり、波が高まったりする心配もあります」

■週間予報 30日(金)に近畿で大雨や暴風雨になる恐れ

【片平敦気象予報士】「週間予報を見ますと、近畿南部を中心に雨の予想が30日(金)ごろまで続く見通しで、特に30日(金)は濃い青の傘マークで表示されていて、大雨や暴風雨になる恐れがある予報になっています。この状況が続くと、雨がどんどん降って、川が危険な状況になったり、土砂災害の危険性が高まる恐れもあります。今後の台風情報に特に気をつけてください」

【片平敦気象予報士】「警報が出るかもしれないという可能性ですが、大雨、暴風、高波そして高潮が、特に28日(水)から30日(金)にかけて、可能性=中を示すオレンジ、または可能性=高を示す赤に表示になっています。週後半にかけて台風の影響が大きく出る恐れがありますから、今後の情報に特にお気を付けください」

(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月26日放送)

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