埼玉県内で熱を帯びる議論について22日、県の教育委員会が結論を出しました。
その議論とは、“県立高校の男子校・女子校の共学化”についてです。
埼玉県教育委員会・日吉亨教育長:
今後の県立高校のあり方について総合的に検討する中で、主体的に共学化を推進していく。
現在、埼玉県にある137校の県立高校のうち、男女別の高校は12校あります。
これは全国的にも珍しい状況で、特に埼玉県と群馬県に多く存在しています。
共学化について、街の声は様々です。
高校1年生(女子校):
(共学に比べて)他の異性の目が気にならないので、自由にできるっていうのはいいところかなと思います。
中学3年生:
共学の方がいい。男だけだとつまらない。
母親:
難しいけど、男女っていう区切りはあんまりいいイメージがない。あんまり区別しなくていいのかな。
議論のきっかけは2022年、県に寄せられた1件の苦情です。
内容は「県立の男子高校が女子の入学を拒むのは、国連の女子差別撤廃条約に違反している」というもの。
2024年7月には、県立高校生の有志らが共学化に反対する3万4461人分の署名などを、県や教育委員会に提出しています。
そうした中、勧告を受けた教育委員会は、県内の中高生と保護者に共学化の是非を問うアンケートを実施しました。
それによると、「どの高校へ進学したいか」の問いに、中学生の半数以上が「共学校への進学を希望」と回答。
一方、現役高校生に向けた「男女別学校の在り方について」という質問では、6割近くが「共学化しないほうがいい」と回答が分かれたのです。
しかし今回、この問題を議論していた県教育委員会が出した結論は、「共学化について主体的に推進していく」というものでした。
一方で、共学化する具体的な時期や学校名は示さず、「県民の意見を丁寧に把握する必要がある」としています。
この決定に対し、中高生や保護者からはさまざまな声が聞かれました。
高校2年生(男子校):
反対です。(男子校は)はしゃげて、自分の好きなことができる感じで楽しい。別学にも別学の需要というか、ある意味がある。
中学3年生:
青春したくて。女子校ももちろんできると思うけど、先輩から共学いいよと聞いた。やっぱ女子校の良さもあると思うので残してほしい。
埼玉県教育委員会の決定について、専門家は「公立だからこそ公共性が重要」と話します。
教育評論家の尾木直樹さんは、「税金で運営している学校ですよね、公立だから。それなのに自分自身が好きなところを選べないと、これは不平等甚だしいというか、公共性が著しくゆがんでいると思う」と話します。
現役の学生からもさまざまな意見が聞かれた今回の共学化推進の結論。
今後も丁寧な議論が求められています。
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