米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画を巡り、防衛省沖縄防衛局は20日、軟弱地盤のある大浦湾側で新たな護岸の造成工事に着手した。軟弱地盤の改良に必要な設計変更を国土交通相が2023年末に代執行で承認して以降、設計変更に基づく護岸工事は初めて。今後、地盤改良を含めた大浦湾側での工事が本格化する。
沖縄県の玉城デニー知事は発表したコメントで「埋め立て承認の留意事項に基づく事前協議が調っていないにもかかわらず、一方的に工事に着手したことは誠に遺憾だ」として、工事の中止を求めた。
着手したのは、大浦湾側(米軍キャンプ・シュワブ東側)の埋め立て予定海域の一部を囲う「A護岸」など3護岸の造成工事。A護岸の造成地では海上のクレーン船から鋼管を海に沈めた。防衛省は今後、約7万本のくいを海面から70メートルの深さまで打ち込む地盤改良工事にも着手する。
シュワブ南側では埋め立てがほぼ完了している。大浦湾側の埋め立てなど全体の完成は順調に進んでも33年ごろと見込まれ、米軍への提供手続きも含めた移設の完了は36年以降とされる。
大浦湾側では防衛省が17年から護岸の造成工事を始めたが、軟弱地盤の改良が必要になり、工事は事実上ストップ。防衛省は設計変更を県に申請した。玉城知事が承認を拒んだため、法廷闘争の末、公有水面埋立法を所管する斉藤鉄夫国交相が承認を代執行。防衛省は24年1月、資材を仮置きする海上ヤードを大浦湾に設置する作業に着手し、本格工事への準備を進めていた。【比嘉洋、喜屋武真之介】
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