8月17日の未明に、福島県に接近した台風7号。海上は大荒れとなり、海水浴場は閉鎖された。さらに新幹線や在来線では、一部の列車が運転を見合わせるなど、多くの人の足を直撃した。
二本松市では、8月の観測史上最大となる1時間に52ミリの非常に激しい雨を観測。幸い、福島県内では住宅の浸水や河川の氾濫などはなく、そのほか雨や風による大きな被害は確認されなかった。

<いわき市では大雨に警戒>
土のう袋が無料で配布されるなど、台風7号による大雨への警戒が続けられたいわき市。16日の午前10時半に警戒レベル3の「高齢者等避難」を発令。さらに気象庁が発表した線状降水帯の予測情報を受け、午後3時には警戒レベル4の「避難指示」を市内全域に出した。
避難した人は「去年、水害になったから、今年は早めに来た」と話す。いわき市内では最大で150世帯255人が避難。一方で、16日夜から17日未明にかけての総雨量は5ミリで大きな被害の発生はなかった。

<最大限の警戒体制>
福島県内で唯一発令された、いわき市内全域への避難指示。2023年の経験が、念頭にあったという。いわき市災害対策課の猪狩雄二郎課長は「昨年、やはり線状降水帯で大きな被害を受けたいわき市としては、早めの避難ということで全域に高齢者等避難、避難指示を出したところです」と話す。
2023年9月に線状降水帯が発生し住宅・約1800棟が浸水するなど大きな被害が出たいわき市。
いわき市災害対策課の猪狩課長は「必ず台風がそれるとか、被害が少ないとかではなくて、その時その時によって状況は全く変わってきてしまう」と話し、今回の台風7号の動きが予測しにくかったこともあり、地域を絞り込まずに最大限の警戒体制をとったという。

<早めの避難情報 評価と課題>
2023年の線状降水帯で、最も被害を受けたいわき市内郷内町。内郷内町町内会の防災士・菅野昭夫さんは「やはり早め早めに情報出してもらう。これは大事かなと思う」と話し、今回のいわき市の対応を評価している。
一方で、内郷内町町内会の馬目太一区長は「住民にどうやって啓蒙するのということがある。990戸もあると、なかなかそれは少人数の役員では難しい」と話し、広い地区で住民に効果的に避難を呼びかけるうえでは、課題もあるとした。


線状降水帯発生予測情報を、対象の自治体はどう活用したのか?気象庁の調査によると「職員の手配など事前準備」「防災体制の構築」「避難情報の発令判断」など早め早めの対応に活用されていることがわかる。
一方、危険な場所にいる人が正しい避難行動をとれるよう、自治体から住民への情報の伝え方も常に改善を続ける必要があるようだ。

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