村で使う電気の自給自足への挑戦に迫りました。
熟練の職人が操る重機の先には巨大な丸太。
次々と機械に吸い込まれると、瞬く間に細かく粉砕されていきます。
さらに、水しぶきを上げて高速回転するタービン。
その源となっているのは、山あいを流れる清らかな小川です。
この自然の恵みを未来の子どもたちへ。
小さな村が目指す人と地球にやさしいある取り組みとは。
岡山県北東部、兵庫と鳥取との県境に位置する西粟倉村。
西粟倉百年の森林でんき・寺尾武蔵代表取締役:
西粟倉村では、再生可能エネルギーを使った電力の100%自給を目指しています。
辺り一帯を豊かな森林に囲まれたこの村で今、進められているのが、化石燃料に頼らず再生可能エネルギーを活用し、村で使う電力を100%自給することです。
自然の恵みをみんなで分かち合う“上質な田舎づくり”を目指している西粟倉村。
エネルギーの自給自足を実現するためにまず目をつけたのが、周囲の山々から湧き出す豊富な水です。
小川の上流に設置された取水施設から下流にある小さな発電所に水が送られます。
施設内には水が通る巨大なパイプがあり、その中では、勢いよくタービンが回って電気を生み出しています。
そして、村の面積の9割以上を占める森林。
育てられた木の中には、間伐で切り捨てられたり、品質が低く買い手がつかないものもありますが、これを集めて有効活用します。
まずは、巨大な重機を使って木材を丸太の状態から細かく粉砕し、できた大量のチップを別の施設に運んで熱エネルギーとして利用します。
さらに隣の施設では、チップを使ったバイオマス発電も行っています。
このバイオマスと水力による発電で村の6割の電力を賄っていますが、次に目をつけたのが「太陽」です。
村では2023年3月、民間企業などと共同出資し、地域の新たな電力会社「西粟倉百年の森林でんき」を設立しました。
既存の発電設備の運営や保守のほか、新たに太陽光パネルを設置し、電力の100%自給を目指しています。
その中で、こだわっている点について、寺尾代表取締役は「とにかく自然を壊さず、調和の取れた人も自然も幸せにできるようなパネルを置けたらと考えています」と話しました。
村の宝である自然を最大限に生かしつつも、決して“自然は壊さない”。
そのため、村にある太陽光パネルは、個人が設置したもの以外は、全て公共施設の屋根などに設置されています。
そして今後、順次パネルの設置を進め、2年後には再生可能エネルギーによる電力の自給100%を目指しています。
西粟倉百年の森林でんき・寺尾武蔵代表取締役:
人の生活と自然と共存する形で折り合いを付けながらやっていく。正しく仕事をして、お金を稼いで、そこで雇用を生みながら経済を循環させる。経営の基盤、それをちゃんと確保しながら、太陽光(パネル)を増やしていく。国とか世界の課題を解決する方に向かっていくというのはやるべきかなと思っています。
山あいの小さな村が目指すエネルギーの自給自足。
その思いは豊かな自然とともに50年後、そして100年後へと受け継がれていきます。
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