79回目の終戦の日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれた。天皇、皇后両陛下や岸田文雄首相らが参列し、日中戦争や第二次世界大戦で犠牲になった約310万人を悼んだ。天皇陛下は「これからも、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います」と、おことばを述べられた。
式典では正午の時報に合わせ、参列者が1分間の黙とうをささげた。天皇陛下は戦後について「多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります」と振り返った。さらに「再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民とともに、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べた。
岸田首相は式辞で「我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたもの」と言及した。また、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。戦後79年がたちますが、歳月がいかに流れても、この決然たる誓いを、世代を超えて継承し、貫いていく」と表明した。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など国際情勢が緊迫する中、岸田首相は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化」を進めるとし、「世界が直面するさまざまな課題の解決に全力で取り組み、国の未来を切り開いていく」と強調した。
遺族を代表しての追悼の辞は、出征先の中国で父を亡くした福島市の安斎満さん(86)が述べる。
式は新型コロナウイルスの感染対策のため前回まで4年連続で参列者数を制限して開催していたが、今回5年ぶりに従来並みの規模で開催した。
厚生労働省によると、出席予定の遺族は約3600人。付き添いをのぞいて4989人が参列したコロナ禍直前の2019年よりも少なくなった。一方、高齢化のため、孫などの戦後生まれの割合は参列遺族全体の約47%で過去最多となる。【肥沼直寛】
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