台風5号の進路予報図=2024年8月12日午前11時、気象庁のホームページから

 台風5号は12日午前8時半ごろ岩手県大船渡市付近に上陸し、東北太平洋側は大雨に見舞われている。東北地方を横断して13日までに日本海へ進み、熱帯低気圧に変わる見込みだが、速度が遅く、雨の影響が長期化する恐れがある。気象庁は土砂災害や河川の氾濫などに対し、厳重に警戒するよう呼びかけている。

 東北太平洋側への台風上陸は2016年(10号)、21年(8号)に次いで観測史上3例目。

 台風5号は12日午前10時現在、大船渡市付近にあり、時速15キロで北西に進んでいる。中心付近の気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は25メートル、最大瞬間風速は35メートル。台風の影響により午前10時まで48時間の降水量は、岩手県で観測史上最大を記録し、久慈市下戸鎖(しもとくさり)469ミリ▽同市山形277・5ミリ▽大槌町275・5ミリ――となった。

 岩手県などによると、久慈市の長内(おさない)川にある滝ダムで午前10時20分ごろから緊急放流を開始。これに伴い長内川が氾濫する恐れがあるとして、久慈市は午前10時半、流域の一部に警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令した。

 東北地方で今後予想される24時間降水量は、13日正午までに200ミリ、14日正午までに150ミリとなっている。

 交通機関への影響は、日本航空が青森、秋田、岩手、宮城など東北を発着する便を中心に78便を欠航。全日空も東北発着の便を中心に欠航した。JR東日本によると、東北、山形新幹線は始発から平常通り運転しているが、秋田新幹線は12日午後に盛岡―秋田間の上下線5本が運休。他にも遅れや運休が出る可能性があるとしている。【安藤いく子、奥山はるな】

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