提訴後の記者会見で思いを語る男子生徒の母親。男子生徒が母親の誕生日にプレゼントしたという口紅(手前)を持参した=大阪市北区で2024年8月5日午後1時34分、土田暁彦撮影
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 大阪府門真市立中学校の3年生だった男子生徒(当時15歳)が2年半前に自殺したのは、同級生らによるSNS(ネット交流サービス)などでのいじめが原因だったとして、両親が5日、同級生11人と市に損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。両親側は「同級生らは死亡するまで精神的に攻撃し、学校も組織的に対応しなかった」と訴えている。請求額は明らかにしていない。

 この問題では2023年12月、市の第三者委員会がSNSでの中傷を含む計62件をいじめと判断。「死んでください」などの投稿が確認され、自殺との因果関係を認める報告書をまとめた。「被害者支援や危機管理の視点が欠けていた」と学校側の対応も批判した。

 訴状によると、男子生徒は3年生の21年11月ごろから食事の量が減り、翌年1月には「学校に行きたくない」などとして欠席が増加。不眠も訴える中、2月に自ら命を絶った。

 男子生徒はインスタグラムで「Sine(死ね)」「Uzai(うざい)」などと匿名のメッセージを受け取っていた。ダイレクトメッセージでは「人生を台無しにしつつ誰にも見守られず死んでください」と送りつけられていた。

SNSを使った男子生徒への主ないじめ内容
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 下校時には同級生らが示し合わせて帰宅し、男子生徒が置き去りにされることも複数回あった。同級生らは男子生徒が入っていないSNSのグループで「明日もイジメよな」「金魚の糞(ふん)やん」などとする投稿を繰り返した。

 両親側は、いじめの当事者として立証できると判断した11人を相手に提訴。「一丸となって人間関係から排除したり、中傷したりして執拗(しつよう)に攻撃した」と訴えている。

 そのうえで、男子生徒が担任教諭に「インスタグラムでたたかれ、悪口もある」と訴えていたほか、母親も学校側に繰り返し相談していたと指摘。教諭が学校内でいじめの情報を共有し、適切に対応することを怠ったと主張している。

 提訴後、母親は大阪市内で記者会見。男子生徒から誕生日にプレゼントしてもらった口紅をそばに置き、「息子が旅立ち、いまだ現実を受け止められていない。人の心を破壊するまで攻撃することは決して許されない」と語った。門真市教委は「訴状が届いていないため、コメントは差し控える」としている。【土田暁彦】

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